QC7つ道具のお話し

QC-品質管理物語:

QCはQuality Controlの略で日本語では品質管理と言います。1980年代はどこの工場でも盛んに行われていました。日本は量に関しては物づり大国ではなくなりました。最近の新聞で製造業の人口が1000万人を切ったと報じられました。92年が1600万人くらいでピークだったそうですが、グローバル化で海外生産が増え産業構造も変わりサービス業が増えたのでしょう。物づくりも量から質へと、日本でしか作れない物を作るしかないと様に思います。物づくり大国では無くなったとしても、QCは生産活動には無くてはならない手法の1つです。一言で言えばQCはデータに基づき統計を使って生産性の改善をするものです。生産現場では必須ですので海外移転しても現地のスタッフにトレーニングしています。日本の生産技術はこまやかですので世界が認める所ですが、中国のスタッフとお話しした際-QCってゴミ拾いか?と言われたことがありました。一部、体育会系?の企業ではそのようなこともあったかも知れません。QCの精神を教えたかったのだとは思いますが?中国でもそうですが外国の方にはちゃんと理由を説明しないと分かってもらえません。これは日本人技術者として肝に命じておきましょう。
QCはJISで定義されていますが、説明は要しないでしょうから省きます。用語の説明だけしますがTQCはTotal Qualty Controlで全品質管理と言います。QCは現場単位の小集団で行うものですがマネージャーなどの上層部、管理部門や社長まで含んだ全社的なQC活動を示すこともあります。SQCはStatistic Qualty Controlのことで統計的品質管理です。半導体ではよく先輩から仕事はKKDだよ!と言う言葉を聞きました。これはKeiken(経験)-Kan(勘)-Dokyou(度胸)で仕事をすると言うことで、結構それで通っていた時代もありましたが・・・正に体育会系-半導体には体育会系の技術者(社)が多いような気がしますが、どうでしょうか?

まとめますと次の様になります ↓

QC1
矢印下
QC2
矢印下
QC3
矢印下
QC4
矢印下

QCストーリー物語:

問題解決の方法には個人差もあるでしょうからQCではテーマ決めから管理の定着までを順を追って進めるように各ステップ毎に行うべきことを示しています。これをQCストーリーと言います。QCストーリーに基づいて・・・とQCストーリーで報告や発表したりすると上司受けします。

QC5

QCの手法-QC7つ道具物語:

QC、QCと騒いでもやり方が分からないと何もできませんね。QCではデータに基き統計を使って解析するが基本です。そのため便利な手法が用意されています。全部で7つの手法がありますのでQC7つ道具と言います。どの手法から始めるかも大体ですが決まっています。しかし余り気にしなくてもよいでしょう。理屈が理解できれば応用は自在ですから。
QC7つ道具は次の通りです。

1.パレート図              80-20の法則、エクセルで無理やり作れます
2.特性要因図             魚の骨による解析、ゴジラの骨と言う人もいます
3.チェックシート            エクセルで作りましょう
4.グラフ                 エクセルで作れます
5.ヒストグラム             度数分布表-アドインした分析ツールで作れます
6.管理図                正規分布の章で少し出ましたね
7.散布図                エクセルのグラフで作れます

では早速見てゆきましょう。

パレート図物語:

1.パレート図はイタリアの経済学者パレートによって初めて使われたものでイタリア人口の80%が貧困で20%の富裕層で80%の富を独占している・・・とか言った内容です。80-20の法則とかがぴったりするでしょう。多くの社会的現象に当てはまるらしく貧富の割合や会社では20%の社員で80%の稼ぎをしているとか、20%はどうでもいい社員だとか言われますね。
下図は半導体製造用ロボットでの故障具合をパレート図にしたものです。
パレート図
左Y軸は故障回数で右Y軸は累積頻度%、X軸は故障の項目です。
パレート図製作ではまずエクセルで下図の様な表作りから始めます。
表は回数の多いものから順次並べています(降べきの順)が、その他の項目は例え回数が多くても一番下に置いてください。グラフに描くと一番右端に来ます。パレート図のお約束です。

パレート図表
この表を作るためデータを取るのですが、QC7つ道具の1つチェックシートを使います。
この例ではトラブル回数をカウントしています。一番左の列からトラブルの項目、回数、累積回数、一番右の列には累積比率を計算しておきます。エクセルでは簡単にできますね。これをグラフにすればよいのですが、ちょっと面倒です。

**************************************
グラフの種類から→ユーザー設定→2軸上の折れ線グラフと縦棒-を選択してグラフを描いてしまいましょう。
次に任意の棒をクリックして選択してから→右クリック→データ系列の書式設定から→
オプションタブを開き→棒の間隔を→0(ゼロ)にする。
グラフエリアをクリックして選択し→右クリック→グラフオプション→軸タブ→第2軸のX/項目軸のBoxへチェックいれる
第2項目軸をクリック→パターンタブを開き→目盛ラベルなしのラジオボタンON→目盛タブ→項目境界で交差する(B)のチェックを外す
数値軸(Y軸)を選択し右クリック→軸の書式設定→目盛→最小値0→最大値へ累積回数(例では37)を入力してください。
→累積比率の折れ線グラフを選択→右クリック→元のデータ系列より累積比率を選ぶ→値(V)に累積比率ラベルより選択して入力する
最後に第2数値軸の最大値を1にする。
**************************************

以上です、できましたか?専用ソフトなら一発ですがエクセルではチョコチョコいじらないといけません。

さてこれをどう使うかですが、80-20の法則をも思い出してください。故障回数の大きいものから3つ程選択すると累積故障率は70%を超えます。トラブル-ビック3を潰せば7割り改善できることを表します。パレート図はこの様に今後集中して取り組むべき項目を3個程割り出すために使います-と教科書には書いてありますが・・・現場の方達は、そんんなことはとうに承知です。ハッキリ言って資料見るのが仕事のマネージャー達への説明資料ですね。日本では何でもかんでも現場に押し付けますから-マネージャーの皆さん、もっと頭使ってください!
さて、潰すべきターゲットを3つくらいに絞り対策しました。効果の程をもう一度データ取って確認しましょう。対策後のデータは以下の通りになりました。このパレード図も是非描いてみてください。そして改善前後の図を並べて比較するときっと上層部受けします。
パレート図表改善後

特性要因図物語:

よく魚の骨とかゴジラの骨と呼ばれるものです。特性とは結果です。そして要因とは原因のことで原因-結果の関係図とでも言えましょうか。因果関係を考える道具で、これは言葉による解析手法で、Ishikawa diagramとも呼ばれます。

図としては次のようなものです。
特性要因図例
書き方は中央に1本太い線を引いて背骨とします。その背骨に向かって5本位の大骨を引きます。図では右端に特性である結果を書いています-デポレートの低下です。次にその原因である要因を各大骨に割り当てます。大骨には中骨、中骨には小骨、孫骨と要因を細かく割り当てて行き全体を完成させます。初めは中々アイディアが出てきませんので次の5M+E手法で大骨を書くと良いと言われます。 図の例でもこの5M+Eにならっています。

Man         人
Machine      装置、機械
Marerial      原料、材料
Method       手法、やり方
Measure      測定方法
Enviroment    環境

出来るだけ複雑な世界地図にしましょう。パット見てイメージできるように簡素に記入します。なぜ-なぜ-なぜ・・・と5回繰り返して大骨から孫骨へと原因を探ってゆきます。5-Whyと言う手法です。初めは中々アイディアは出てこないものですが経験を重ねるうちに出来るようになってきます。ブレーンストーッミングの項でもご紹介しますがアイディアを出すコツがいくつかあります。
1.特性と要因を取り違えないようにしましょう-よくある事です。
2.言葉による解析手法なので具体的な表現にします。思考が発散することを防ぐためです。よく~が不安定・・・などと表現しがちですが、何が不安定かがハッキリしませんね。
温度が±3℃でバラツクとか圧力変動が6%であるとか具体な数値にしましょう。
3.出てきたアイディアを否定しない。そんな事ありえない!とか、私の経験上不可能、常識が無い・・・色々否定的な言葉がありますね。封印しましょう。
4.先輩-後輩、部下-上司、部内者-部外者は同レベルです。

*おまけ
**************************************
私は会社員時代、目的の為なら手段を選ばない主義でした。日本での会議は声のでかい上司に引きずられますから邪魔だと思ったら呼びません。ある会議の後でそれがバレて、上司が怒りだしましたねェ~、俺はそんなの聞いてない!-こちらも、あんたには話して無い!・・・これで一発解決です。上司はグ~とも言えませんでした(笑)。一般に直接担当している局所的な問題なら上司より部下の方がはるかに優秀です。上司はOKもらうための印鑑代わりですから、そう敵対することも無かったのですが・・・どうも性格ですかね?今は、もっと冷徹になってしまって①得られたデータに基づき②論理的に解析し・・・③私的に解決します。
**************************************

散布図物語:

特性要因図で因果関係のありそうな項目が出ましたら数値解析してみましょう。統計では相関と言うもので評価します。QC7つ道具の中にも同じようなものがあり、散布図と言います。エクセルのグラフ中にも散布図がありますから、後で使ってみましょう。
下図はエクセルで描いた散布図です。X-Y関係のグラフで点で表しています。この点の集まり具合で、相関を見ようと言うものです。点の中に右上がりの直線が見えますが、近似曲線と言います。この近似曲線の式は右肩にy=0.1743x+1448.9とあります。R^2は相関係数の2乗で、これを寄与率と言います。相関係数、寄与率は別の章で説明します。

散布図

とにかくエクセルのグラフツールで散布図は描けます。X軸が要因-原因でY軸が特性-結果を表します。エクセルではグラフを描く都合上、左列がxで右列がyになるようになっていますので、データ解析する場合にはそのように各列に配置しましょう。この散布図ではxが増加するとyも増加していますからxとyは正比例の関係にあります。グラフ線は右肩上がり、でこの様に右上がりの傾向を、
正の相関があると言います。逆にxが増加するとyが減少してゆく場合には、x-y間に負の相関があると言います。これらを含め、散布図の傾向と注意点を下図↓に示しました。図aが正の相関、図bが負の相関の例です。一方、各点がバラバラになっている場合には相関が無いと言います。図Cの様な場合です。ここで注意ですが、一見バラバラで相関が無いと思われる場合でも、データを層別してみると相関が現れるば場合があります。層別とはグルーピングで、グループ別に別けることです。装置別、材料別、方法別、日付、時間別などがクループに別ける場合の一例です。特性要因図で5M+1Eで要因を考えると良いと述べましたが、ここでも層別する場合の指針になります。図Cで3つに層別してみるとそれぞれ右肩上がりになっていることが分かります。正の相関があるのに無いと判断してしまう可能性があります。図dはデータの範囲が狭く、本当は正の相関があるのに無いと判断してしまう場合です。この例で分かるように、データは多角的に見ることが必要です。

散布図のパターン

よく、層別はどうしたらよいか?データを取る範囲はどこまでが適当か?などの質問を受けます。残念ですが、統計はそこまでカバーしていません!これはエンジニアの皆さんの知見に掛っています。ところで、各点を並べて右肩上がりの傾向が出たら正の相関があると言いますが、上がり具合で相関の強さが表せそうです。相関の強さは、数学では相関係数と言うもので表しますが、記号はR(Relationの略)です。Rの値は0~1の間の値を取ります。0なら相関は無し、1で100%相関があると表します。エクセルでは相関係数Rを計算する関数が用意されていますので、これを使ってみます。
=CORREL(1列xx:xx 、2列yy:yy) で求まります。1xx:xxは1列目の指定です。散布図を描く場合には左の列にx(要因-原因)を右の列にはy(特性-結果)を並べてからドラッグしてグラフ化します。同じ要領で相関係数Rを計算します。散布図を描かないで、単に相関係数Rだけを求めるならどちらの列をx,yにしても構いません。下図の例では左列にX、右列にYを並べています。xは説明変数としていますが、相関の場合にはこう言う表現をします。またyは目的変数と言います。散布図ならxは要因、yは特性なのですが???初心者はまごつきますね。まあ、両者は同じことです。両列をドラッグして選択し、CORRELを計算してください。
答えは 0.773と出るでしょう。ついでに2乗しておいてください。エクセルでの2乗は=0.773^2です。セル指定で2乗しても同じです。R^2は0.5979くらいになるでしょう。
さて、相関係数Rは0.773とでました。1に近いですから相関はかなりあると考えられます。
研究者により多少違いますが、一般的には次のようです。

Rの絶対値 >0.8 強い相関がある
0.8>Rの絶対値0.6>=相関がある
0.6>Rの絶対値>=0.4弱い相関がある
Rの絶対値<0.4 相関が無い

相関を求める表例

この表の例では0.773ですから、相関アリとなります。グラフ化してみましょう。グラフオプションから近似曲線の追加で直線近似を選び、R^2を表示のチェックボックスにチェックマークを入れてOKすると近似曲線が追加され、近似式y=ax+bとRの2乗もグラフの右上に表示されます。エクセルのバージョンで少しやり方違いますが、見つけ出せます-がんばってください!

相関係数

あれ、でましたねR^2、先ほど計算しました相関係数Rの2乗です。Rの2乗は寄与率と言います。寄与率ですから、xがどの位その現象yに寄与しているかですね。例では0.5979ですから、約0.6-60%位寄与している-逆に言えば、yの現象はxで6割は説明できると言うことです。ですからXを説明変数と呼んでいる訳です。では、後の40%は何ですか?と言う疑問が出てきますね。それは今は分かりません。何か実験していない別の要因があるか、または誤差です。この辺のお話は別章の相関と回帰分析で再び登場します。
もう1つ・・・またなぜ相関係数Rの2乗がそうなるのか?ですね!結構難しい問題です。発想を変えて、世の中2乗になっているものを見て見ます。色々ありますね。例えば電力
P=VI=V^2/R=I^2R(W)
運動エネルギー F=1/2mV^2
とかが、思い出せる限界か(^o^)!
2乗するとエネルギーになります。エネルギーですから、どのくらい効くか!が分かりますね。いくら圧力があっても流量が無ければエネルギー出せません。いくら量が豊富でも流しだす力がないと仕事してくれませんね。どのくらい効果的に効くかはエネルギーで表せますと言うことにして、この場から逃げます。

ここで注意事項です!それは・・・

相関があっても因果関係があるとは限らないと言うことです。よく統計の本に出てくる例ですが、コウノトリと人間の出生には強い相関があるそうです。西洋では赤ちゃんはコウノトリが運んでくると親から教えられます。でも、誰が考えてもおかしいですよね、絶対!実は、コウノトリは家の煙突に巣を作ります。煙突がいっぱいあればコウノトリもいっぱい来て巣を作ります。煙突には家ですから、結局そのあたりには家がいっぱいある-当然子供も多く生まれるでしょう・・・と言うオチになっています。またコウノトリが巣を作るために、その時期になると暖炉の使用を止めるそうですが、微笑ましいお話しですね。

相関があっても因果関係は別物です。そこはエンジニアの知見と責任で解析します。

チェックシート物語

チェックシートはお好きなパターンで作って頂ければよいでしょう。でも注意点をいくつか。

1.項目は必要かつ十分に-手間が掛らないものにする。

張り切って一杯詰め込むと苦痛です。少し経つと誰にもやってもらえなくなります。現場は忙しいですから、そんな余計仕事敬遠されます。押し付けにならないよう、現場とも良く話し合って決めましょう。なぜこれが皆さんにとって役に立つか、どんなメリットが有るかを説明しないと、現場はついて来てくれません、破綻します。

2. 層別が出来るようにしておく。

データの層別は良く考えてください。これが一番のキーポイントです。

3. 条件を忘れずに。

日時、装置、測定器、記録者などの条件を忘れずに。後で追跡できなくなります。
*データ異常があったので調べて見ました。ある時から突然崩れ出し、生産をストップさせエンジニア総出で工程や装置を調べました。異常無し-そんなバカな!結論です-測定装置のズレでした。定期的に校正するのですが、校正用のサンプルを間違ったらしくズレていました。チェックシートに測定装置の記入欄が無かったのが失敗でしたね。あったらもっと早く分かったでしょう!以前使ったことのあるチェックシートです。日本では物を数える時によく正を使いますね。正1個で5ですからパット見て個数が分かります。例では別の方法で5を数えています。ご参考までに。

チェックシート例

グラフ化の物語:

グラフは説明を要しないでしょう。データを視覚的に捉えますから、ピンときます。
一応QC7つ道具と銘打っていますので説明します。

a:棒グラフ-データの大小を棒にしているので比較しやすい。
b:折れ線グラフ-横軸(X軸)に日時や時間をとる場合が多く、データの変化が見れる。
c:円グラフ-各項目の占める割合を表すのに便利。
d:レーダーチャート-各項目のつり合いを見たり、多特性を比較できる。
e:帯グラフ-各項目の占める割合を表す。割合や%を合わせておくと他との比較が簡単にできる。
f:複合グラフ-複数のグラフで異なる視点から比較できる。

グラフを描く場合の留意点は:
a:全体の形は正方形に近い方が見やすい。
b:訴えたい箇所を強調する。
c:単位を忘れずに。
d:取ったデータの条件、製作年月日、製作者、タイトルを忘れず付ける。

ヒストグラム-度数分布図物語:

ヒストグラムは度数分布図と言います。エクセルで描けますが、分析ツールを使い少し面倒です。このやり方は後の方で述べます。下図で正規分布曲線と一緒に描かれている階段の山がヒストグラムと言うものです。横軸はデータの値で各階段は幅を持っていますので、~から~までの範囲のデータを表しています。縦軸の階段の高さはその中に入るデータの個数(度数)を表しています。階段の高さが高ければその範囲のデータ数が多いと言うことになります。正規分布曲線は確率を表していますが、その変形みたいなものです。

正規分布とヒストグラム

ではここで、下表↓のようなデータがあったとしましょう。右側各データです。左の列に区間を書いておきました。区間はデータの範囲のことです。一番上は1500以上1505未満としていますので、この区間(範囲)に入るデータを拾い集めてみます。

ヒストグラムを作るデータ表

地道に集めて並べると次の表ができます。

度数分布表

表を眺めると、何だか右側に突き出た”とんがり山”になっていることが分かります。これを左回転させて起こせば度数分布図になるようです。右の列には区間(範囲)にデータが何個入るかの度数を書いておきました。最多6個の中心は1525以上1530未満です。=正規分布の中心です。山は中心から綺麗な左右対称形をしていますので、正規分布=異常分布ではない=正常に何か物が作られている-と言うことを表しています。ヒストグラムはこの生産されている品物の正常-異常をチェックするためにも用いられます。これはヒストブラムの型をいくつか知っていれば対応可能で簡単にできます。ではいくつかの型を見てみましょう。

絶壁型:
データを意識的に抜いたりした場合に現れます。出来上がった製品を全品測定して規格外を捨てた場合などです。30年以上も前、半導体の自動化が余り進んでいなかった時代のお話しです。オペレータが測定スペックに達しないデータを捨てたことがありました。異常が発生すると、原因が分かるまで生産ラインを止めて、居残り残業が発生してしまいます。残業はやりたくないので、ごまかした?らしいです。でもすぐバレます!データ解析専門エンジニアがおりますから、お前何かやったろう・・・です。QCの本にはよくフォード自動車の話が出てきます。ある工場の前の川底には不良品の部品が山のようになって沈んでいるそうです。

絶壁型ヒストグラム

離れ小島型:
異なった分布を持つデータが混入している可能性があります。データの履歴を調べて他のプロセスのデータが入っていないかチェックします。

離れ小島型ヒストグラム

2山(フタヤマ)分布:
原因の違う2つのデータが入っている可能性があります。
データを層別するなどして分離します。

2山分布型ヒストグラム

エクセルでヒストグラムを作る:
分析ツールよりヒストグラムを選びます。データをドラッグして選択し入力範囲に入れます。
データ区間を入れますが、ここは自分で計算します。
出力オプションの□グラフ作成のチェックボックスにチェックマークを入れて
OKをクリックすれば取りあえず作れます。気に入らなかったら、データ区間を変えてみてください。チョット癖があり、2山でないのに2山になったりする事もあります。経験上、マクロで自分なりのプログラムを組んでおいたほうが使いやすいです。

分析ツール→ヒストグラム

ヒストグラムの最後は工程能力指数のお話しです。規格外れ具合から、その工程の能力を数値化したものです。工程能力指数にはCpとCpkの2つがあります。Cpから見て行きましょう。
Cpは次の式で計算します。Suは上限規格、SLは下限規格で、6sは標準偏差の6倍のことです。式の意味は±3sの中に規格品はどの位で入りますか-と言うことです、簡単ですね。
正規分布の復讐です、±3sの範囲にはデータ全体の99.7%が入ります。全製品が規格内に入るためには、バラツキsを小さくしないといけません。必殺技は規格を甘くして広げてしまうと言う方法もあります。規格が許されるならそれもアリです。

Cpの計算式

この式は両側規格の例で、~以内で生産する-と言う場合に用います。片側規格で、
上限規格があり、~以下で生産-と言う場合には下の式を用います。

上限規格~以下で生産

下限規格で、~以上で生産の場合は、

下限規格~以上で生産

次に計算したCpの値はどの程度が適当か、と言うことになります。大きい程良い(製品の全部が余裕で規格内に入る-バラツキが少ない)には違いありませんが・・・必要以上の能力はかえってコストの無駄です。

Cpの判断基準

半導体では通常、フォトリソ(露光-パターン転写)工程はCpが1.5以上あります。ドライエッチング(放電をル用した食刻)工程は0.8程度でバラツキが多かったものです。私はドライエッチング担当だった事もあり、フィトリソ工程が羨ましかったものです。Cpが大きければ手抜きをしても大丈夫です、と一応言えそうです。検査間隔を伸ばす、検査サンプルを少なくするなどのコストダウンを図ります。
Cpが大きければそれだけで良いかと言えば、少し問題があります。バラツキが少なくても、生産(プロセス)の中心値が規格の中心値から偏っていたら問題です。Cpは中心値のズレを考慮していないため、このズレを考慮した工程能力指数Cpkを併用します。殆どの生産工程では規格の中心と生産(プロセス)の中心は一致しません。
Cpkの計算式は次の通りです。

Cpk=(1-K)Cp → 1からのズレの割合Kを引いたものをCpに掛けて計算しています

Cpk-計数Kの計算

Cpkの計算

Cpk-Kの意味合い

Cpkは1に近い程よいので、Cpを1.33以上に持ってゆき、次にバラツキに影響の無いパラメータを選んで中心値に持って行きます-この手法は品質工学(田口メソッド)そのものです。
品質工学のお話は別章で予定しております。

管理図物語:

管理図も正規分布の性質を使います。正規分布の考え方は別章の正規分布にあります。
普通何等かの生産活動をしていれば、出来上がった製品は(途中工程でも同じです)正規分布をします。平均値Xbarを(μでもデータ数が多ければ殆ど同じ)中心にして釣鐘型の分布になりますが、±3s(σもデータ数が多ければ殆ど同じ)の中には全データの99.7%が入ります。
1000個作って997個が入ります。外れはたった3個、上側(大きい方)に1.5個、下側(小さい方)に1.5個の確率です。管理図はこれを利用します。下図↓のように正規分布のグラフを左回転させ生産中に時間軸でデータを取ってプロットして行きます。正規分布の中心は平均値Xbar(またはμ)でこれが中心線になります。平均値を中心にして±3s(3σ)の線を上下に引いておきます。+3sの上線(データ値の大きい方)はUCL(Upper Control Limit)で上方管理限界線、-3sの下線(データ値の小さい方)はLCL(Lower Control Limit)で下方管理限界線と言います。この線はを超えると言うことは、確率的に小さく、滅多に起きないことが起きた→何かが変わった→正常では無い→工程異常と言うことになります。
さっそく工程のチェックです。メーカーによっては±2sの所にも線を引いて上下警戒線としている場合もあります。±2sには全データの95.4%が入りますから、外れは上下で5%弱ですので警戒線としているわけです。確率5%は推定と検定でも使われますので、覚えておいてください、また登場します。

正規分布を利用し管理図にする

色々な管理図:

ところで管理図のデータは通常平均値Xbarで平均値です。これはXbar管理図と言います。しかしデータの型には計量値(アナログデータと思ってください)と計数値(ディジタルデータ)がありました(別章の計量値と計数値の話参照)。計量値の方は正規分布しますから問題ありませんが、計数値の方は2項分布やポアソン分布をします。これでは管理図の理論が使えません。しかし統計では、データ数が多ければ計数値も正規分布しているとしても誤差は小さいことを利用して、正規分布で近似しています。この理論により計数値でも使える管理図が用意されています。では計量値の管理図から見て行きましょう。

計量値の管理図にはXbar-R管理図とX-Rs管理図の2種類があります。

a:計量値の管理図-Xbar-R管理図
Xbar-R管理図は代表的な計量値の管理図です。管理図と言えばこれだ、と言うくらい代表的なものです。これはXbar、すなわち平均値データの管理図で、平均値Xbarがどう動くかを管理します。 従って中心線は平均値barの平均値barbarになります。

   Xbar管理図

管理限界線は±3sで引いておけば問題ないのですが、データ数が少ない場合には困ってしまいます。そこで学者の皆様が努力されて最適なものを用意してくれました。下の表は色々な統計の本に載っています。nはデータ数です。A2、やD3、4など何で?・・・と言う感じですが、学者さんが決めましたので、そうなっていますとしか言えませんね!

管理図用表例

Xbar管理図では上方、下方管理限界線は次の式で計算しています。A2は表のA2で、データ数nで決まります。RbarはレンジR(範囲=最大値max-最小値min)の平均値です。データ数nが10個を超えたら正規分布に近づくので標準偏差sを使って問題ないでしょう。その場合は±3sになります。よってXbar管理図はデータを更新する度に描き換えして行きます。

Xbar管理図の計算式

b:計量値の管理図-R管理図
R管理図は範囲R(最大値-最小値)の管理図で、これも計量値です。ところでRはRangeのRのことです。

R管理図

R管理図計算式

c:計量値の管理図-X-Rs管理図
余り無いでしょうが、何かの都合でデータが1個しか取れないような場合に用います。
得られた1つのデータと直前のデータとので管理します。Rsも同様です。

X管理図

Rs管理図

X管理図計算式

Rs計算式

d:計数値の管理図-半導体では欠陥数、パーティクル、故障回数、キズなどのデータは1個、2個と数える計数値です。これらは2項分布やポアソン分布に従うのですが、面倒ですので実用的には、正規分布で近似します。管理図としてはP、Pn、c、u 管理図があります。

初めにざっと説明しましょう。

P管理図:不良率の管理で、サンプル数nが一定でない場合にその率で管理するもの。
Pn管理図:サンプル数nが一定の場合の不良率で通常、不良個数など。
u管理図:サンプルの大きさが一定でない場合の欠点数など。
c管理図:サンプルの大きさが一定の場合の欠点数など。
P、Pn管理図は率の管理、u、cは個数で管理するものです。

e:計数値の管理図-P管理図
サンプル数nが一定でない場合の不良率の管理図です。計算した率をプロットして行けばよいので管理図は簡単に描けます。問題は管理限界線ですね。図↓では点線で示した管理限界線が上下していますが、これはサンプル数nが一定でないためです。

P管理図

計算は次の式で行います。

P管理図計算式

f:計数値の管理図-Pn管理図
サンプル数nが一定の場合の不良率の管理図です。サンプル数nが毎回一定ですすから、管理限界線も一定になります。

Pn管理図

Pn管理図計算式

g:計数値の管理図-u管理図
サンプル数nが一定でない場合の欠点数、欠陥数、故障回数などの数で管理するものです。
uはunitのuですが、なぜ小文字のuなのかは分かりません、大文字のUが他に使われているからかも知れませんが、過去からず~と調査中です。これもサンプル数nが一定しではありませんから、管理限界線も上下しています。

u管理図

u管理図での管理限界線は下の式で計算します。

u管理図計算式

h:計数値の管理図-c管理図
サンプル数nが一定の場合の欠点数、欠陥数、故障回数、キズなどの数を管理します。

c管理図

c管理図の管理限界線は下図で計算します。なおCLはCenter Lineの中心線です。

c管理図計算式

ここまで計数値の管理限界線の計算式を見てきますと、全て3×・・・となっている事に気が付きます。これは正規分布の3sのことですから・・・は標準偏差sの近似式になっているわけです。
なぜそれらが近似になるのかは別の機会にご紹介したいと思います。
管理図はエクセルでも作れます。マクロで自動化すればよいのですが、ちょっとした知識が必要です。私はマクロを組んだり、専用ソフトで作っています。webなどで無料のソフトなど調べてみればよいでしょう。

さて、管理図は描けるようになりました。最後はその見方を学んで終わりにしましょう。

管理図の見方:

管理図でのデータの動きを見ていると工程異常が分かります。くせのある動きには注意が必要ですので、ここでは管理図のくせから工程異常の判断の仕方を学びます。

得られたデータは、平均値より大きくなる確率も小さくなる確率も、それぞれ50%です。工程が正常なら平均値より大きくなるデータと小さくなるデータは適当にバラケて平均値を中心に半々位になるはずです。従って管理限界線内にあっても、余り偏った出方をしたりした場合には、それらも異常と判断します。以下、異常と見る場合の例です。

パターン1:データが片側に多く出現する

下図は片側(この例では平均値より大きい方)に7回連続して出現している場合です。この様な連続するデータは”(レン)”と言います。連が7回続く確率は1/2×1/2×・・・を7回繰り返し、1/128≒0.7813%になり1%を下回りますから、滅多にないことが起きている=異常と判断します。確率的な考えですので、連続して7回片側に出なくても、次の場合にも異常と見ます。

a:連続する11点中10点以上が片側に出現する
b:連続する14点中12点    ”
c:連続する17点中14点    ”
d:連続する20点中16点    ”

管理図の連-片側の連続6回出現

パターン2:連続する7点が上昇または下降している
これも確率論から導かれるものです。下図は連続する7つのデータが全て上昇傾向を示していますので、これも異常と見ます。また管理限界線に接近して現れる現象も異常と見る場合があります。図の様に、中心の平均値から管理限界線までを1s毎に3分割して、中心から2/3より外側に出た場合を異常(管理限界線に接近)とします。

a:連続3点中2点以上(連続していなくてよい)が管理限界線に接近して現れる
b:連続7点中3点以上            ”
c:連続10点中4点以上           ”
d:連続7点以上が上昇または下降する

管理図-連ー連続的に上昇または下降

パターン3:何らかの周期性がある
管理図に何らかの周期性がある場合には注意が必要です。周期を作っている原因を究明します。場合によっては新たな制御因子が見つかって、工程が改善されることもあります。

管理図-周期性

生産工程のトラブルはいやなものですが、科学的がアプローチで解析すると、新たな発見と全く新しい手法が見つかる場合もあります。トラブルをチャンスと考えてチャレンジしましょう。

以上で,QCと7つ道具は終わります。今は、専用のソフトが充実していますから、それらを活用すればよいでしょう。しかし、それ以前に理論をしっかりと押さえておかなくてはなりません。そうしないと、とんだ大間違いをしてしまいます。統計はあくまで道具(ツール)です。エンジニアの知見や理論に合わない、経験に合わない-などしっくり来ないことも多いものです。
時には統計結果も捨て去ることもあります。

余り過信せず、また無視もせず使って行きましょう。

これがこの章の結論です。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

w

%s と連携中