CVD

CVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)のコンパクトな解説ページです。

CVDとはChemical Vapor Depositionの略で化学的気相成長と訳されます。薄膜を堆積(デポジション)させる技術ですのでしばしば雪に例えられますが、実際には下地膜との表面反応です。例えば風呂場の鏡が曇るのは水蒸気と鏡表面との表面反応の例で水蒸気が凝縮して水の膜になったものです。CVDも同じで熱またはプラズマ(放電)で分解したガス成分がウエハ表面と反応して膜に成長したものです。図1にCVD成膜のイメージを示します。

図1-CVDの概念

図1-CVDのイメージは表面反応

ガスが分解して膜が付くと同時に副生成物もできます。これは揮発性が高いので飛んで行ってしまいます。
図2にCVDの種類を示します。表面反応をいかにウエハ表面で制御して付けるかが装置的なキーポイントになります。常圧CVD(Atomosphere pressure CVD)は大気圧下でデポジションするものです。量産性に優れていますがゴミの発生やデポジションした膜が大気中の酸素や水蒸気と反応すると言う問題もあります。半減圧CVD(Sub-Atomosphere CVD)は大気圧の半分程度で行いますが、プロセス特性的には常圧CVDと同じでありスループットを稼ぐために半減圧にしているものです。減圧CVDは数十 Pa程度の真空にしてデポジションするものです。減圧タイプの熱CVDはプロセス圧力が低く、比較的恒温であるため膜質は良好でゴミの発生も余りありません。従ってトランジスタ周辺への膜付けは減圧CVDが多く用いられています。 以上が熱を使ってデポジションさせるものです。 プラズマを使うものはPECVD(Plasma Enhanced CVD)と呼ばれます。数十から数百Paの真空度でプラズマと呼ぶ放電を利用してガスを分解しデポジションさせます。  プラズマCVDは低温で成膜が可能ですのでBEOLなど配線工程で多用されています。例えば白熱電球が熱くて手で触れないのに対して、放電を利用する蛍光灯は触れるのと同じことです。高温にすると配線材料のアルミが溶けたり(660℃で蒸発)タングステン等のリフラクトリーメタルでも酸化されて抵抗が上がってしまいます。それでなくとも最近ではトランジスタの構造が複雑かつ種類も多いので熱工程は極力低温で行う必要に迫られています。しかし膜質は良好とは言えません。この辺りは妥協の産物となります。LOW-K、HI-K材料も低温でハンドリングします。使用するガス種によって色々な膜が付きます。絶縁膜をデポジションするDCVD (Dielectric CDV)と配線材料をデポジションするMCVD (Metal CVD)に分けられます。

図2-CVDの種類

図2-CVDの種類

表1は主なガス種と膜の種類、用途です。微細化によってコンタクトやバイアの径が小さくなりPVDでは良好な接触が得られなくなりましたので今後、更にCVDの用途が増えてゆくことでよう。

表1-ガスによる成膜の種類

表1-ガスによる成膜の種類

CVDもステップカバレッジ(段差被覆性)は重要です。図3はコンタクトホールの構造体にデポジションさせた場合のイメージです。

図3-ステップカバレッジ

図3-ステップカバレッジ

CVDはガスと下地膜との表面反応ですから、基本的にガスが回り込む所には全てでポジションします。微細で深いコンタクトへも可能ですが、実際にはガスの供給差や温度分布の差などで均一にはデポジションされません。フラットな膜の上へのデポジションをトップカバレッジと呼びます。コンタクト底部はボトムカバレッジ、側面はサイドカバレッジと呼びます。PVDと同じコンセプトです。ガスの回り込み特性で一般にボトムやサイドのカバレッジはトップ部に比べ悪くなります。また条件にもよりますが、コンタクトホールの肩になっている部分は他の部分に比べてデポジション量が多くなり開口部の間口が閉じてきます。ピンチオフと言います。ガスがそれ以上コンタクト内に入らなくなりますので以後デポジションはされなくなります(図4&右写真)。このままでは空洞(ボイドと言う)ができてしまいます。埋め戻しが完全でない地下鉄工事のようなもので、ひびが入って割れたりして後々信頼性に関わってきます。デバイスによっては問題の無い場合もありますが埋め込みが必要な場合にはCVDの条件を変えたりします。

図4-ボイド

図4-ボイド

ところでなぜ開口部の間口部分のデポジション量が多いのかと言う疑問がでます。一つの考え方としてはCVDは表面反応なので膜の言1点からガス分子を見た場合に膜トップ面は180°開いています。開口部は270°、ボトムは90°ですから2:3:1にデポジションされると考えられます(図5)。

図5-デポジション比

図5-デポジション比

CVDのデポジション条件は大きく2つあり1つは供給律則、もう一つは反応律則です。例えば供給律則は組立作業者の能力が高く直ぐに作業を終えてしまい原料待ちしているようなものです。原料すなわちガス供給が不足がちであり反応にあずかるガス分子の移動がデポジションレートを決めているような状態のことです。反応律則は原料は十分足りているが作業者の力不足で進まないような状態です。反応スピードがデポジションレートを決めるためプロセス温度が重要な条件となります。実際のプロセスではこの2つを使い分けていて最適な膜質、ステップカバレッジなどを追い求めています。
現在埋め込みに関し新しい技術が使われています。
図6はHDP(ハイデンシティプラズマ=高密度プラズマ)と言うものです。

図6-HDP-CVD

図6-HDP-CVD

装置的にはエッチングの所でご紹介したプラズマ発生用のソース源と発生したイオンを引き付けて運動エネルギを与えるバイアス源を持ったものです。お互い独立して制御できるためプロセスの自由度が高くなっています。DHP CVDはデポジションガスとスパッタエッチ用のガスであるアルゴンを同時に添加してデポジションを行いながら同時にエッチングさせると言うものです。主要ガスはSiH4とO2でLow-K用でF添加のためにSiF4を使うプロセスもあります。アルゴンガスは重いのでバイアス電源で加速され膜に当たりスパッタの力でエッチングします。トンカチとノミで石を削るような具合です。カバレッジの所でのべましたが、コンタクトやバイアの開口部間口で肩になっている部分はデポジションレートが高くでますので、そのまま続けると間口がピンチオフしてガスが入らなくなります。コンタクト内部に空洞ができてしまいますのでアルゴンスパッタエッチで間口を開けてガスを導入させます。間口が開いていればデポジションしますから結局ホール内へデポジションできることになります。一昔前はCVD装置とエッチング装置2台を使って交互にデポジション、エッチングを繰り返して実現していました。HDP CVDは1つのチャンバー内でこれらを済ましてしまいます。

図7-HDP-CVDによるプラグ

図7-HDP-CVDによる埋め込み平坦化

 

 

 

 

 

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