半導体事始め

半導体事始めと題し半導体の基礎を分かりやすく解説します。理解し易さを優先しましたので、ちょっと学問的には???・・・なところがありますが、その部分は予めおことわりしながら進めて参ります。

1-1:まずは小歴史
半導体は英語でsemiconductorと言います、文字通り半分-導体です!私達の周りには色々な半分-導体がありますが、産業的に多く用いられれいるものはシリコンSiですね。私の子供の頃(50年程前)はゲルマニュウムでした。ゲルマラジオやゲルマトランジスタでアンプなど作った思い出があります。シリコンは古くから知られていました。何故か?地球はシリコンでできた星です。マグマや岩石、砂などの主成分は酸化珪素SiO2です。地球に存在する物質の重量%をクラーク数と言うのですが、シリコンSiは60%程度です。では半導体の原料には事欠かないか・・・と言えばそうではなく、大変な労力が必要です。Siは石SiO2の形で存在しますから、O2を外さないといけません。シリコンSiと酸素Oの結合力は大変強く、電気炉の中でゆっくりと結晶に成長させますが、これには100万Kw級の原発が必要です。日本では電気代が高いので海外で荒結晶まで行い、最後に日本で本製錬しています。日本のお家芸の一つです。
シリコンは古くから知れれていましたが、ゲルマニュウムは1848年頃だったと思います。あるドイツの鉱山で鉱夫が金属光沢のある石を見つけました。金属にしては見た目より軽く不思議な鉱物でした。ドイツ鉱業大学のウインクラー教授の元に送られ分析が始まりました。すると、その鉱物は何年か前にロシアのメンデレーエフが発表した周期律表の中にあるエカ珪素の性質にそっくりでした。エカとは~の下と言う意味で、当時、珪素(Siシリコン)の下は未発見の物質であろうと言うことでその部分は空欄になっていました。メンデレーエフはその未知の物質の重さや化学的性質を予想していましたが、ウインクラー教授の分析でそれが確認されました。彼は自分の母国であるゲルマニアの名を取って新物質をゲルマニュウムと名付けました。当初、半導体は文字通り半分導体の半端モノでしたから、電線にも絶縁物にもできず利用価値無しとして、金属の一種くらいに分類されていました。ところが時代が下り、半導体の研究が進むと色々なところに応用できることが分かってきました。1948年ベル研究所でのショックレー博士のグループは世界初の半導体を使った個体増幅素子であるトランジスタを発明しました・・・と言うことになっています。実際には裏の歴史があるようで、その2年程前にNHK技研の内田さんと言うエンジニアが発明していたらしいのですが・・・今となってが全て闇の中です。

図1-世界初計算機ENIAC

当時、増幅とか発振用の電子素子は真空管でした。コンピュータも真空管製で世界初のENIAC(図1写真参照-ウィキペディヤから転載)と言うコンピュータは18800本もの真空管が使われていました。1回計算すると何本かが壊れてしまうようで、専門のエンジニアが真空管を交換するために待機していたそうです。それでも計算スピードは当時としては驚異的速さでした。今は、スーパーコンピュータが京のスピードで計算していますね。 私の高校くらいまではTVは真空管製でした。壊れるところは殆ど真空管なので、何本か予備を持っていれば素人でも修理できました。工業高校生だった私にとっては良いアルバイトだったものです。
真空管は電子で動作しますからスピードも早いのですが、寿命は1万時間程度のものでした。今、真空管は無くなりましたね。少し前まではTVのブラウン管が残っていましたが、液晶になってしまいました。当時の最新鋭電子機器は電話交換機だったようですね。リレー交換機と言うもので、リレーと言う電磁石で動く機械的なスイッチで繋いで行って電話回線を作るものです。機械的スイッチですからすぐ摩耗し回線の質を保つには大変です。スピードにも限界があります。
1947年にアメリカのベル電話研究所でトランンジスタが発明されました。20世紀を代表する発明の一つと言われます。当初の目的はレーダーの反射波を効率良く増幅する素子の開発でした。それまでの電子素子と言えば真空管がほぼ全てでした。ラジオや通信器、コンピュータまでも真空管でつくられていました。真空管は真空にしたガラスのチューブの中にフィラメントや電極を封じ込めた構造で壊れ易く、消費電力も大きく持ち運ぶには不便でもありました。何より寿命が短いと言う欠点がありました。
そこでベル研究所では真空管に代わる電子素子の開発に取り掛かります。ショックレー博士と彼のグループはゲルマニュームと言う半導体基盤の上に‘ねこのひげ’と呼んだ細い電極を立てて電流を流す構造の素子を作り実験を行いました。電極間隔を狭くしてゆくとある瞬間から入力の電流より出力の電流の方が大きいという現象(増幅)が現れます。これが初期のトランジスタで点接触型と呼ばれています。しかし点接触型ではその動作が良く判らず、代わって翌年の1948年に接合型トランジスタが発明され、1956年ノーベル賞に輝くことになります。

図2-ベル研初期トランジスタ(イメージ)

初期トランジスタ(ベル研)

初期のトランジスタは雑音も大きく信頼性も無い代物でしたが、先輩エンジニア達の努力により改善されてゆきました。高周波には使えないからラジオに応用するのだけは辞めておけと、アメリカのエンジニアから言われたSONYのエンジニアが苦労の末、トランジスタラジオを作り上げた話しは有名です。しかしSonyはやり遂げました、一時は開発にお金かけ過ぎで会社倒産の危機まで行ったそうです。その後、Sonyのラジオは爆発的に売れアメリカでは大量の盗難事件まで起きました。今のiPadやスマートフォンに似ていますね!

トランジスタの発明から約10年後の1958年に今のIC(集積回路)の元となるものがテキサスインスツルメンツ社のジャック・キルビー氏によって発明されました。それからおよそ半世紀経ち、ICは驚異的なスピードで私たちの生活に浸透しました。PCやTV、CDなど、更には炊飯器やお湯を沸かすポットにまで、様々な所で今ではIC無しの生活は考えられなくなりました。IC製造技術ではフォトリソと呼ばれる縮小露光技術代表される微細加工技術の長足の進歩により、現在最先端のデバイスは65nm、45nmを経て、27nmの世界に移行しつつあります。この様に驚異的進歩を遂げたICですが、その製造工程を基礎から理解してゆくことは今後の生産技術の更なる発展に役立つと思います。このシリーズでは半導体製造プロセスの基礎を簡単で判り易く解説して行きたいと考えております。

1-2:IC(集積回路)のアイディア1958年代

テキサスインスツルメンツ(TI)社のジャック・キルビーは半導体の基盤中にまとめて素子を作り込み、後から配線を取る方法で世界初のIC(リングオシレーター)を作りました。それまで電子回路は個々のトランジスター、抵抗、コンデンサーなどの素子を配線でつないで作っていました。
補足ですが、電子部品は素子と呼びます。電子素子としては抵抗、キャパチタ(コンデンサ)、インダクタ(コイル)にダイオードの4種類しかありません。トランジスタはダイオードを2つ繋げて作られます。この4種で全ての電子回路は出来てしまいます。さらに多くの電子回路はインダクタ(コイル)も必要としません。コイルは高周波用デバイスなど一部に使われます。
素子の作り方は後に詳しく述べますが、半導体中にトランジスターと同様に作ることができます。どうせなら半導体中に全ての素子を作ってしまった方が簡単で便利です。当時彼はTIに入社仕立ての新人で夏休みがもらえなかった様です。先輩達が夏休みでいなくなった会社の研究室で誰にも邪魔されずこのアイディアを実行しました。ラッキーだったかも知れません。発明とかにはこの様な裏話があるものです。同時期にフェアチャイルド社のエンジニアのノイス氏は配線をアルミニュウムで同時に作る方法を考案しました。半導体基盤の中に各素子を作り、その上に絶縁膜を被せます。次に絶縁膜の必要な箇所に穴を空けてからアルミを流し込み、配線になる部分以外をエッチングで取り除くと配線が一気に作れます。今まで一々各素子を線でつないでいたものが簡単に作れるようになります。この両者のアイディアは今でも変わらず、現在のICも基本的に両者の考えた方法で作られています。Si基盤中へ各素子を作りこむ工程はFEOL(Front End of Line)と言います。FEOLとは前工程とかトランジスタ工程とも言います。次に、作られた素子の上に絶縁膜を被せてから穴を空け(コンタクト形成)、アルミを流し込みます。必要な部分にパターニングとエッチングで配線を作り、各素子を絶縁膜の上でつないで一つの電子回路を形成します。この配線工程はBEOL(Back End of Line)と言います。BEOLとは文字通り、後工程ですね。トランジスタ工程とも言えるFEOLはキルビー氏より配線工程のBEOLはノイス氏の功績によると言えるでしょう。現在のICの作り方と決定的な違いは、フォトリソグラフィーと呼ばれる写真技術を応用した縮小露光技術によって当時では考えられない超微細化が実現したことです。

図3-キルビーのアイディア

*********余話********
来日した折、キルビーさんにお目にかかったことがありました。身長2mもあろうか見える様な長身で、物静かなジェントルマンでした。工場見学中はゆっくりと歩きながら、いつも微笑んでいました。
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1-3:半導体とは?

所で、半導体とは一体何者でしょうか?英語ではSemi-Conductorと言います。まさに半分導体と言う意味です。物質によって電気を良く流す性質のものと流さない性質のものがあります。図式すると下の様になります。物質の持つ流し易さの単位は学問的には抵抗率ρで表し単位はΩ・mです。良く流すものは導体と言い電線に使われる銅やアルミ、コネクター類には金がメッキされて使われています。絶縁体は殆ど電気を通さないので電線の被覆や絶縁材として多く使われています。半導体はちょうど導体と絶縁体の中間の抵抗率を持つものです。発見された当時は導体でもなく絶縁体でもなく変な性質を持つ、程度の理解度で応用するところもありませんでした。仕方なく金属の方に分類されていましたが、やがてその性質が詳しく研究されてくると利用価値が高まってきました。半導体には他に無い面白い性質があります。

図4-半導体とは

一つは熱や光など外部からエネルギーを与えると抵抗値が変化したりします。また不純物と呼ばれるBボロン、Pリンなどほんの少し加えると抵抗が激減します。この様な性質は半導体にしか無く数々のデバイスが作られています。トランジスタの初期にはゲルマニュウムが使われていましたが、現在ではSiシリコンがメインです。他にはSiGe、GaAsなど半導体の性質を示すものが使われます。 Siシリコンは古くから知られていた物質です。地球はSiシリコンとO酸素で重量の60%を占めていると言われ云わばSiの星です。地球を形作るマグマ、岩石、砂などは皆SiシリコンとO酸素が結合したSiO2酸化シリコンで出来ています。シリコン資源は無尽蔵にあるような感じですが、実際には酸素との結合力が強くヨーロッパのある地方で産出する鉱石から多くの工程を経て精製しています。

1-4:半導体はそのままでは使えない・・・周期律表と不純物半導体

まずはP型・N型半導体を理解しましょう-と言うお話しです!

表はおなじみの周期律表の一部です。Siシリコン半導体は周期律表では4族になります。シリコンの下にやはり半導体の性質を持つGeゲルマニュウムがあます。Geゲルアニュウムもよく使われています。SiシリコンやGeゲルマニュウム原子の最外郭軌道には4個の電子が回っています。最外郭軌道には電子8個入ると安定します。例えばArやN2などの不活性ガスは安定で最外郭軌道に8個の電子を持っています。8個にするため隣り合うSiシリコン原子と電子をお互いに共有して見かけ上8個にして安定します。そのためこのような結合を共有結合と言います。共有結合は安定な結合になります。

図5-真正半導体

電子はSiシリコン原子に束縛されていて原子間には殆ど存在しません。よって自由に動ける電子がありませんので電気は流れにくくなります。Siシリコンの抵抗が高いのはこのためです。熱や光などのエネルギーを外部から与えれば電子はエネルギーをもらってSiシリコン原子の束縛を離れて自由電子となりこれが移動することで電流が流れます。 周期律表に出ているSiシリコンやGeゲルマニュウムは真性半導体と言います。真性とはマッサラの半導体とでも言う意味でしょう。半導体デバイス製造ではこの真性半導体は抵抗が高すぎて使いません。使えなければどうするのか? それは真性半導体に少し混ぜ物をするのです。 Siシリコンは4族ですが右隣の5族にPリンとAsヒ素があります。

図6-第5族リンP

Pリンやヒ素は5族ですので最外郭軌道には5個の電子が回っています。半導体製造用のSiシリコンは純度が非常に高く99.999999999%がSiシリコンでできています。9が11並ぶのでイレブンナインと言います。このくらい純度を上げないとトランジスターなどの動作がうまくゆきません。ほとんど完全無欠の純粋なSiシリコンにリンやヒ素を少し混ぜんますのでリンやヒ素には少し気の毒な気がしますがですが、彼らを不純物と呼んでいます。

図7-N型半導体

SiシリコンにPリンを混ぜて共有結合されるとSiシリコンの電子4個とリンの電子4個がそれぞれお互いに8個の電子を持ち安定します。リンは1個電子が多いので結合できずにSiシリコンの原子間にとどまります。原子の束縛を受けませんので自由に結晶内を移動できます。これを自由電子と言います。ここで外部から電圧をかければ自由電子は電界に引かれて移動しますから電流が流れたと言うことになります。Pリンを多く加えれば加える程、自由電子の数は多くなりますのでたくさん電流が流れるようになります。すなわち抵抗が低くなってゆきます。混ぜ物をすればするほど抵抗値が下がる!こんな性質は半導体にしかありません。電子はマイナスの電荷を持っていますのでNegativeの頭文字を取ってN型不純物半導体と言います。N型半導体は電子が電流を流す役目をします。

図8-P型半導体

今度はSiシリコン族の左側、3族にBボロンがあります。Bボロンは最外郭軌道に3個の電子を持っています。今度はこれをSiシリコンと結合させて見ます。原子の最外郭軌道には電子が8個入り安定しますが、Bボロンは3個しかないので共有結合させると電子が7個しか入らないところが出てきます。これは不安定な状態になります。機会があれば隣からでも電子を奪って自分は安定しようと企てます。この様な状態で外部から電圧を掛けますと電子の無いところを埋めるべく近くの電子が移動してきます。移動した電子はそこに収まり安定します。そのような振る舞いがちょうど電子に対してプラスの孔が開いたように見えることからこれをホールとか正孔と言います。正孔とはPositive Holeのようなイメージで電子を吸い付けるプラスの電気があたかも有るように見えるからです。ところで、電子が移動してきて収まったと言うことは近くの原子から電子を奪ったようなものですから奪われた方は電子が不足します。当然、そこにはホールが発生します。発生したホールはまたどこかの原子から電子を受け入れて安定します。このように次々とホールを電子が埋めてゆくようになり、電子の移動がありますからこれでも電流は流れます。 Bボロンを多くいれるとホールがたくさんできますので電流は多く流れるようになります。

図9-ホールの移動

ホール(正孔)が移動して電流が流れ、あたかもプラスの電気のように働くのでPositiveの頭文字を取ってP型不純物半導体と言います。ホールの移動は椅子取りゲームのようですが、電子とは反対向きに移動します。P型半導体では電気を流す役目はホールが行います。後に解説しますが、移動度は電子の半分程でその分、スピードは遅くなります。*****************************************
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半導体を理解する上ではまずN型半導体、P型半導体を理解することが重要です。

図9-不純物半導体

半導体中の電子やホールが移動することによって電流が流れます。言わば電気を運ぶトラックのようなものですのでこれらをキャリア(Carrier)と言います。戦闘機などを運ぶ航空母艦もキャリアと言いますが、同じような意味です。

学問的には正しくないのですが、簡単に考えるとN型半導体はマイナスの電荷が入っている半導体と考えても良さそうです。 一方P型半導体はプラスの電荷が詰まっている半導体とも言えそうです。ただし両者とも中性ですが。なぜ中性なのか?と言えば、それは中性のSiシリコンに中性の不純物を入れても中性だからです。 これら半導体に乾電池などから電気を与えると中のプラス・マイナスの粒が移動して電流が流れると考えて見ましょう。

さて半導体はN型とP型を理解すれば良いとお話しました。ではトランジスターのようなデバイスはどう理解したら良いでしょう。 実はデバイスの最小単位はダイオードと言うものです。そしてこのダイオードを理解することがデバイスを理解する基礎になります。

1-5: P、N半導体からダイオードへ

図10 PN接合ダイオード

図10はダイオードの模式図と電気記号です。矢印になっている所がミソです。トランジスタなどのデバイスを理解するためにはまずダイオードを理解します。ダイオードはN型半導体とP型半導体を接合して作ります。ダイオードの中でもPN接合ダイオードと言います。N型の方がカソード(陰極)でP型の方がアノード(陽極)になります。ダイオードは整流や検波に使いますが、、電流を一方向にしか流さない性質を利用しています。整流は交流から直流を作る電源回路に、検波は電波から信号を取り出すもので、両者は基本的に同じことです。

図11 順・逆方向接続

ダイオードに電池などの電源からNにマイナス、Pにプラスをつなぐと順方向接続となり電流が流れます。流れの方向はPのアノード(陽極)からKのカソード(陰極)へと流れます。矢印の通りです。ちなみに電子は電流と逆方向に移動しますから、KカソードからPアノードへ移動します。P型半導体中のホール(正孔)はプラスの電荷が詰まった半導体ですから、電池のプラスと反発してN型半導体の方へ追いやられ、同時にN型半導体はマイナスですからホールは引きつけられます。N型半導体中の電子は電池のマイナスに反発されP型半導体の方へ追いやられます。P型はプラスの電気を持っていますから、電子を引き付けます。N型半導体に入り込んだホールと電子は結合して消滅します。P型半導体に入った電子もホールと結合して消滅します。では、ホールも電子も無くなってしまう?いえいえ、ご心配無く。ホールは電子の無い状態の空洞ですから実際には存在しません-ププラスの電荷を持った粒子の様に振る舞っているだけです。実際は電子の移動です。N型中の電子は電池(電源)から供給されますので、無くなることはありません。
従って電流は流れ続けることになります。

今度は逆方向接続を説明します。

Nにプラス、Pにマイナスを接続します。この状態ではN型中のマイナス電荷(電子)はプラス極に引かれて移動し端に偏ります。P型の方のホールはマイナス極に引かれてやはり偏ります。ダイオードの中心付近には電子もホールも無い、すなわちキャリアが無い領域が出来上がります。何か聞き覚えありませんか?そうです一種の真正半導体ですね。キャリアが無いのですから電流は流れません。このダイオードの働きは重要なのでまた詳しく述べたいと思います。

大事なことを一つ、

トランジスタやIC集積回路などの半導体デバイスには色々ありますが、一部の例外を除きデバイス中のP型半導体には電源のマイナスが、N型半導体には電源のプラスが接続されています。つまり逆方向接続になっています。トランジスタはダイオードを2個接続した構造いなっています。トランジスタのP領域にはマイナス、N領域にはマイナスが電源から接続されます。もし電池などを逆方向に接続すると、デバイス内のありとあらゆるP、Nは順方向接続となり、大電流が流れ動作不良ならまだしも、焼損してしまいます。ラジオ、CDプレイヤー、携帯電話、デジカメ、PCの電池にはプラスマイナスの方向が決まってあるのはこのためです。
Pにプラス、Nにマイナスは順、Pにマイナス、Nにプラスは逆と覚えましょう!

1-6: トランジスタの巻

結論です-トランジスタは2つのダイオードから成るスイッチです!

我々は既に半導体にはP型とN型がることを知り、半導体を理解するにはP型、N型の不純物半導体を理解すればよいことも分かりました。P型とN型をくっつけてダイオードが作られましたね。IC集積回路などのデバイス(ダイオードやトランジスタもデバイスの一種)の中には何百万個と言うトランジスタが入っています。デバイスを理解するにはダイオードを理解すればよいことも述べてきました。トランジスタはICの中核を担うデバイスですが、たった2つのダイオードから成っています。

図12 バイポーラトランジスタ

トランジスタは2つのダイオードの組み合わせで作られています。図12はバイポーラトランジスターと言われるものでベル研究所で最初に作られたものです。 ベース、エミッター、コレクターと言う3本の電極がありスイッチや増幅器として働きます。エミッターはエミッション(放出する-電子かホールを放出します)する電極で、コレクターはコレクション(集める-エミッターから放出された電子かホールを集める)する電極です。これらの制御をするのがベース(基極です)電極です、分かり易いですね。
基本的にベースに流す電流で、エミッター・コレクターに流れる電流をコントロールするもので、電流能動素子とも言います。トランジスタはベースを中心に、ダイオードが2つ向かい合わせでつながった構造をしています。図12のタイプのものはNPN型と言いますがN・Pを逆にしたPNP型もあります。これがどうしてスイッチや増幅器として動作するかは、別章で解説いたします。

図13 MOS型トランジスタ

図13はNチャネルMOSトランジスターと言います。ベル研のバイポーラ型より後に作られました。現在の主流となっているトランジスターです。多くのデバイスはこのMOSトランジスターを組み合わせて作られています。トランジスタはいずれもスイッチの一種です。バオポーラ型と異なり電極の名前がゲート、ソース、ドレインとなっています。ゲートは門と言った意味でゲートに掛ける電圧でソースとドレイン間に電流が流れたり流れなかったりします。ちなみにソースとは源(みなもと)でここから電流が流れ込むようなイメージです。ドレインは泉と言う意味で電流がここから湧き出るようなイメージですね。ゲート電圧でソース・ドレイン電流をコントロールしますから、電圧能動素子とも言います。

図14接合形ユニポーラトランジスタ

図14はジャンクションFETと言うタイプのトランジスタです。接合型FETとも言います。P-Nが接合しているからです。
高速道路の料金所から本線に接続されている所もジャンクションと言いますが同じ意味です。スイッチの記号で表しましたが、ノーマリーオン型(常時オン)でゲートに電圧を掛けないとオンで導通しており、電圧を掛けるとオフになりスイッチが切れます。FETとはField Effect Transistorの略で、日本語では電界効果トランジスタです。ゲートに加えた電圧の電界効果でスイッチや増幅作用をさせるので、こう言う言い方になっています。しなみにMOSトランジスタもMOS FETと言ったりします。以上、3種類のトランジスタを見てきましたが、いずれもPNダイオードを組み合わせてつくられたスイッチです。
これらトランジスタの動作原理は別章で解説する予定です。

まとめます:

Bipola Transistor 電流能動素子 → NPN型 PNP型
バオーラとは2つの極を持つと言う意味です。この場合、極とは極性と思ってください。
電子のマイナスとホールのプラス両方使ってでスイッチや増幅作用をするものです。

Unipola Transistor 電圧能動素子→ MOS FET 、J-FET 共にP型、N型 あり
ユニポーラとは単極のことで、電子またはホールのどちらか一方でスイッチや増幅作用をさせるものです。P型ユニポーラMOSトランジスタ、P型ユニポーラジャンクショントランジスタはホールが移動して電流を流し、動作するタイプのトランジスタです。

・・・・・どうです、分かってきましたか?

コンピュータの中は大変複雑なものですが、基本原理は単純なものです。計算するための論理回路にはAND、OR、Not、XORなどがありますが、それらを組み合わせて半加算器がそして半加算器を組み合わせて全加算器がつくられています。また各論理回路の中身はトランジスタを幾つか組み合わせた回路になっています。 トランジスターは1つ1つがスイッチですからコンピュータなどは膨大な数のスイッチからできていると言うことになります。 何万何百万個ものトランジスタを作るには半導体製造プロセスの技術が無くてはならないものです。 このシリーズでは、半導体の製造プロセスを順を追って解説して行きたいと思います。

図15 全加算器

図16 NANDの内部

1-7:プロセスのとっかかり

半導体プロセスとは一言で表せば写真技術を利用してSiシリコン基板上にダイオード、トランジスタなどの素子を作り込み、それらに配線を施し特定の機能を持たせた電子回路を作ることです。 工程は大きく2つに分けられ、1つはFEOLと言われるシリコン基盤面への素子の作りこみです。これはキルビーさんのアイディアです。もう一つはBEOLで、FEOLで作られた素子の上に絶縁膜を被せてから穴を開け配線材を流し込んで各素子をつないで行く工程です。こちらはノイスさんのアイディアでしたね。 マスクを転写する、膜をエッチングする、膜を付けるなど基本となるいくつかのプロセスがあり要素プロセスとも呼ばれます。製造工程では何度もこの要素プロセスを繰り返し、構造体を積み上げて行く方法でデバイスがつくられます。ちょうどビルを建てる建築にも似ています。

図17 デバイスの構造

主なプロセスは以下の通りです。
細かく見ればこれ以外にもありますが、省略しています。

1.CVD  ウエハー上に絶縁膜・導体膜を作る。
2.PR  構造体を作るマスクを形成。
3.Etch  膜を削り構造体を作る。
4.インプラ  N型・P型半導体をSi中に作る。
5.PVD  金属膜を作り配線にする。
6.拡散  熱を加える。
7.CMP  膜を削り平坦にする。
8.Wet  ウエハーを洗浄する。

*その他に検査やモニターなどの工程も入ります。

図15半導体工程概要

本当に煎餅焼きやサンドイッチの構造に似ています。社員研修ではサンドイッチを作ったりして、理解度を上げました。MOS型サンドイッチの作り方もご紹介致します。

以上で半導体事始めは終わります。

次の2章トランジスタからICへお進みください。

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