半導体を鳥瞰する

半導体は取っつき難いとよく聞きます。知っている人は知っているし、知らない人はチンプンカンプン!新入社員教育でも皆さん面喰っています。そこで文化系の方々用に講座を作ってみたことがありました。ここではそこでの経験を元に分かり易く総合的に半導体はどうやって作るのかを解説します。講座に使ったパワーポイントを張り付けていますので、間に簡単な補足説明を入れています。

*****工事中ですので途中までですが読んでみてください******

P1:本講座で取り上げる内容です。これで半導体とは大体どんなものかが分かると思います。
実際はかなりドロクサイです!

図1

P2:人類が発明した最初の能動素子は真空管でした。
今では真空管は殆ど姿を消してしまいましたね。チョット前ならTVのブラウン管がそうでしたが、地デジ化でトドメを刺されてしまいあした。身近な所で残っているのは電子レンジのマグネトロンくらいでしょう?大電力の放送局やレーダー見たいな所には未だあります。ところで最初のコンピューターはENIACと言うものでした。真空管を1万7千本以上も使った巨人サイズでビルの中に納められていたそうです。ビルの半分はラジエターで冷却用ですね。相当発熱したようですが-暖房は要らずか?消費電力も住宅50軒分でえらい大飯くらい(^^)!でも当時としては画期的な計算スピードを誇りました。当時はパスカルの手回し計算機で計算していました。今でも古いお店ではレジスターがあるでしょう。あれも計算機の一種で歯車がぐるぐる回って計算します。団塊の世代の少し前までの方なら扱ったことがあると思います。私?・・・見たことはありますが!
その後トランジスターがベル電話研究所のショックレー博士のグループで発明されました。20世紀の3大発明の一つです。トランジスターの発明により世界が画期的に変わって行きます。余談ですがトランジスターはNHK技研の内田さんだったか・・・が最初らしいです。上司に潰されたようなことが裏歴史にあるそうです。興味がある方は調べてみては・・・内田さんを取り上げた雑誌を見たことがありましたが、何だか???でしたね-私は調べませんけど。
ベル研は電話会社の研究所ですから、電話の品質向上で当時のリレー継電器に代わる小型+低消費電力+高速で寿命が長く+信頼性の高い素子の開発を模索していました。リレーは電磁石+スイッチの組み合わせですから、大きさもあり発熱もし、機械接点のスイッチでは摩耗し寿命がすぐ来てしまいます。世界に公募して開発を促進していましたが、自分の所で開発してしまいました。最初に開発したものは点接触型トランジスターと言うでした。ゲルマニュウムの基板の上に猫のヒゲと呼んだリン青銅の2本の針を立て、その針を超接近させると一方の針から入力した電流より他方の針から出て行く電流の方が大きいと言う現象が現れました。これは増幅そのものですね。しかし点接触型トランジスターはどうして増幅するのかが良く解明できませんでした。そこで≒1年後に合金型トランジスターを発明しました。こちらの方は動作解明がうまくできたようです。1947年のことで、これでノーベル賞を受賞しました。ショックレーは気を良くして自分で会社を興して・・・失敗したり&ショックレーのグループはベル研を去ってインテルの元となる会社を作ったりと、セミコンバレーはしばしホットな歴史が続きます。

現在のコンピューターは凄いですね。中に入っているCPU(中央演算処理装置)という頭に当たる素子には億単位でトランジスターが入っています。私もペンティアムの海賊版を作っていたことがありましたが、作っている当事者はそんなに意識していないものです。後で設計者に聞いてかえってびっくりしたりする・・・程度のものです。トランジスター数は増加の一途ですね。Atomなど限定的(この場合はモバイル用)なものでは少し減らしたものもあります。

ICの元になったものは1958年TI(テキサスインスツルメンツ)のジャック・キルビー氏によって発明されました。長くキルビー特許として君臨してきましたね。私もTIだったので一度お会いした事がありました。2m?もあろうかと言う長身の紳士で物静かな方だったように記憶しています。ICがこんなに集積度が上がり大発展をとげるとは思ってもいなかったそうです。同時期に同じようなアイデアを持った人がいるもので、フェアチャイルドのノイス氏もICの発明に貢献しています。実はICはキルビー氏+ノイス氏のアイデアで作られています。IC発明の功績をキルビー氏だけに与えるのはBig Questionですね?

裏話を一つ-彼がICを発明した時のお話し。彼は新入社員でしたので夏休暇で同僚達が休みをとっていた時、かれは休みを貰えませんでした。そこで一人実験室にこもって、以前から彼の頭の中にあったアイデイアを実行に移します。かれは半導体基板上にいくつかの電気素子を作りそれを配線でつないでしまえば電子回路を簡単に作れるのではと考えました。電子回路はトランジスターや抵抗、キャパシターと言った部品を電線でつないでつくります。トランジスターは半導体基板に作りますし、抵抗もキャパシターも基板上に作れます。かれはこのアイディアでリングオシテーターと言う電子回路を作り上げました。これが世界発のICです。
同じころファチャイルドのノイス氏は電子部品を一気に接続する配線手法を考えました。トランジスターや抵抗、キャパシターといった個別の電子部に絶縁膜を被せてから接続点に穴を空けます。その穴に溶けたアルミを流し込んでから配線で残る部分にマスク処理をします。マスクは酸などに耐えられるもので作ります。マスクはマジックペンでもできます。マジックペンで線を描けばそこが配線になるようなイメージです。そして酸に浸けるとマスクの無い部分は溶けてなくなり、マスクの部分が残っ配線になるわけです。開けた穴にもアルミが入り込んで部品と接続されますので部品どうしがつながって電子回路になります。

現在のICのは基本的にキルビー+ノイス方式で作られます。簡単に言うならばキルビーさんの方は前工程(FEOL:Front End Of Line)、ノイスさんの方は後工程(≒配線工程)BEOL(Back End Of Line)と呼んでいますね。この辺りはまた後で説明します。

***でも技術は進むもので、今後は印刷で半導体作る時代になるかも知れませんね?

図2

P3:次は半導体のお話しです。半導体と聞くと突然頭が氷つく・・・でもご安心!

文字通り半分導体の物です。英語ではSemi-conductorで、半分導体ですね。
では導体はと言うと・・・イメージ的に導体は銅やアルミで出来た電線のようなものでしょう。これは電気を良く通します。次に絶縁体は・・・電気を全く通さないもので電線に被せてあるビニールとかゴムとか色々ありますね。紙も良い絶縁体でトランスの中に入っています-へぇ~ですよね、紙!

余談ですが・・・私の講座は余談が多いです!
トランスが燃えると凄いですよ・・・何せ中身は油と紙ですから。電柱の上のトランスからボンボンと音を立てて炎が飛び散ります。危なくて近づけませんね。消防士さんも遠くで見守るしかありません。子供の頃はよくでもないですが目にしました。台湾や中国では結構目撃しました+ベトナムもです(^^)。

では話を戻しましょう。
導体と絶縁体の中間にあるのでズバリ半導体です-簡単でしょう!半導体の中で代表格のものはゲルマニュウムとシリコンです。周期律表中で4族に位置しますね。ところで導体なら電線に、絶縁体なら電線をカバーする被覆材にできますが、半分導体では当初使い道が無かったものです。発見されて暫くの間は何の役ににも立っていなかったものでした。それが今は半導体無では生活が出来なくなってしまう程に発展しました。半導体には加熱したり光を当てると抵抗が下がるなど面白い性質がありますが、その辺りは専門書にお任せして、特徴は何と言ってもトランジスターが作れることでしょう。今は化合物半導体と言って違う物質を混ぜて半導体の性質を出しているものが多くなってきました。こちらも特性がシリコンより良かったりするので高性能トランジスター等には使われています。GaAs(俗にガリヒソと言うガリュムヒ素半導体)が有名ですが、他にも多くの化合物半導体があります。ガリウムGaは3族、ヒ素Asは5族なので(3+5)÷2=4族的な考えでどうですか-だいたいこれで化合物半導体の組み合わせは説明できます?

図3

P4:安くて大量にソコソコの性能を出すなら今はシリコン半導体が王様でしょう。
シリコンはゲルマニュウムより前にその存在が分かっていました。実は地球はシリコンで出来ている星です。
地球に存在する物質の重量%をクラーク数と言いますがシリコンSiは≒55%です。地球重量の6割はシリコンで出来ています。資源は無限か?・・・でも残念な事にシリコンは酸素と結合した状態で存在していますね。SiO2の形です-すなわち石です!砂、岩石、土、マグマ・・・等々ゴロゴロしています。シリコンSiと酸素Oの結合力は強くてちょっとやそっとでは引き離せません。トランジスターやICを作るための超純度の高いシリコンにするのには大変な作業が必要となります。わりかしシリコンSiの含有量が多いヨーロッパのスカンジナビア半島にある山からダイナマイト一発ドカンとやって採掘した石から始めます。シリコンの製錬には電気が大量に必要なので電気料金の高い日本では採算がとれません。まずどこかの国でざっと製錬してもらいましょう。最後の仕上げは日本のお家芸なので輸入した粗鋼を超純度のシリコンへ製錬します。一般にはCZ法ですね。チョコラルスキー法とも言います。高周波誘導で過熱したるつぼの中で種結晶を使って回転させながらゆっくりと引き揚げ単結晶のシリコン柱に成長させて行きます。純度は99.99・・・・・9が11個付くので11-9(イレブンナイン)と言っています。一時MCZ法と言うおのが流行ったことがありました。磁場をかけるのでMagnetのMが付きます。磁場を使ってシリコンの対流をコントロールし、酸素濃度や結晶欠陥などを改善するものでした。今もあると思います。半導体結晶を作る方法は他にゾーンレベリング法もありますが、多分工業的には用いられていないと思います。化合物半導体などの小口径結晶なら使っていると思いますが・・・。興味のある方は調べてみてください。
この単結晶引き上げは2つ大きな要素があります。
1つは結晶欠陥の抑制で、もう1つは酸素の混入です。
まず1つめの結晶欠陥ですが、結晶には当然結晶欠陥が当然あります。欠陥があると電流の流れを乱したり悪いトラップ順位を作ってキャリアを引き込んでしまったり-つまりトランジスタがまともに動作しなくなります。いきなり難しい言葉使ってすみません!今はキャリア=電流を運ぶトラック、トラップ順位は=道路に穴・陥没又は地雷原有り・・・みたいに思ってください。
結晶欠陥はトランジスタ特性を著しく悪くしますので少ない方がよいです。欠陥を少なく成長させるには色々な技術が必要です。プロセス屋としてはトランジスタを作り込むプロセスは結晶欠陥との戦いですね!シリコンに初めから存在している欠陥は困りますし、半導体工場に来てからはプロセスを経る度に大きく成長もしてくるものです。滅多にない事ですがシリコンウエハー由来の欠陥で試作品が全滅したことがありました。当初原因が分からず各プロセスを入念に調べたのですが、結晶欠陥が原因だと言うことまでは分かりました。そこでシリコンウエハーメーカーに問い合わせた所、単結晶引き上げ時に瞬停があり欠陥が入ったとのことでした。シリコンメーカーでは単結晶の一部をサンプルとして保管しており、後で問題が発生した場合にX線分析等で検査できるようになっています。・・・と言うことで原因は解明されましたが、その後は大変でした。遅れを取り戻すでく試作ロットの再投入+フルサポートで休日、深夜問わず働かせられました(^^)!
余話1・・・シリコンメーカーでは結晶の一部をサンプルとしてとっておきます。後で客さんに渡ってから何か問題が発生した場合に解析するためです。一時期学校給食で食中毒が発生したことがありましたね。ばい菌が混入していなかったかなど後日調べる必要があります。そこで今では一定期間サンプル保管するようになりました。例えが不適切かもしれませんがこれも同じことでしょう。
余話2・・・デバイスメーカーもシリコンメーカーも瞬停好き?
何かお客さんで問題を起こしてしまうと大変です。検査や解析に追われますが、正直どうしても分からない場合もあります。そんな時は伝家の宝刀-瞬停で・・・その時瞬停があったんですと一言!これでお客様も納得-最後の落としどころは・・・瞬停と言う事で・・・暗黙の了解か???

2つ目は酸素濃度のお話しです。単結晶引き上げではアルゴンガスなどで空気を遮断しながら行いますが、どうしても酸素が入ってきてしまいます。るつぼはSiCで作られていますが、ここからも酸素はやってきます。その他部品からも飛んできます。どうしても酸素の混入は避けられません。シリコンSiは始末が悪いことに酸素と非常に仲が良くて直ぐにガッチリ結合してしまいます。地球上にあるシリコンはSiO2の形で存在していることは前に述べましたね。シリコン中の酸素は結晶欠陥になります。そこで酸素濃度は低い方が良いので各工場、製品によってスペックがあり酸素濃度を指定して注文します。ここから話がチョット複雑になります。単結晶引き上げで出来上がった柱-インゴットと言いますが、酸素濃度は一様ではありません。ちょっと考えても引き揚げ初めと終わりでは違ってきそうです。引き揚げにつれてるつぼの中の酸素は段々と上昇してきます。スープが煮詰まってくるようなイメージです。当然引き揚げ初めより終わりの方が酸素濃度が濃いと思われます。インゴットをカットしてシリコンウェハーを作るのですが切り出した場所によって酸素濃度に差がでるため、スペックインする箇所はそんなに多くありません。A社は高級デバイスを作っているので酸素濃度・・・を納入してくれ、B社はバイポーラの汎用品用だから酸素濃度は多少高くても大丈夫、安いのでOK・・・等々、各社各様の仕様に合わせて注文します。好景気で半導体の需要が高まってくるとナロースペックでインゴットの余り取れない部分のシリコンが不足して来て奪い合いになることもあります。
では酸素濃度が低ければ低い程良いのかと言うとそうでもない事情もあります。シリコンウエハーは工場に入ってから様々な工程を経て最終てきなICになる訳ですが、途中いくつかの熱工程を経ます。熱工程には1000度を超えるものもあります。また色々な膜を何重にも重ねながら積み上げ法で作ってゆきますが、熱膨張率の違いたストレスの違いでウエハーは大きな力を受けます。これはウエハー変形と言う形で現れますが、躯体的にはウエハーが反り返ってきます。反り返ると膜剥がれをおこしたりその力でトランジスタ-が影響を受けたりします。
ひどい時には反り過ぎて機械に乗せられない、ロボットがつかめない状態にもなったりします。一度ウエハーの反り具合を各工程毎に追いかけて調査したことがありました。工程を経る毎に面白いように反ったり曲がったり、元に戻って全平らになったりと、まるで煎餅焼き状態でした。実は酸素濃度が高い方が反りを軽減できます。プロセス屋としてはそこでバランスをとるわけです・・・摺合せとも妥協とも言いますね!半導体プロセスとは妥協点を見つけることかも知れません。
さらにもう一つ付け加えておきましょう。単結晶引き上げはアルゴンガス雰囲気中で酸素を遮断しながら行うと言いましたが、ついでに不純物も入れながら行います。詳しいことは後で述べますが、半導体では周期律表に出てくるシリコンをそのまま使いません。その中に不純物を添加して使います。折角11-9の純度まで高めたシリコンに不純物を添加するなんて、何てこった・・・と思いますか?実は周期律表に出てくるシリコンは抵抗が高過ぎて絶縁体に近いものです。
このままでは使えません。そこで添加物を少し入れて抵抗をグンと下げます。具体的には4族のシリコンへ3族のリンPや5族のヒ素Asを入れて不純物半導体とします。何だか名前が悪いですね。添加物を不純物と言ってしまった結果ですね-気にしないでください。
単結晶引き上げ時に、同時にその高温を利用してリンやヒ素を含んだガス等を導入して不純物半導体にしてしまいます。出来上がったインゴットはP型半導体やN型半導体のインゴットになるわけです。もちろん抵抗は下がっています。どうしてこんな事するのか・・・?
下味ですね(^^)。大きなレストランで何千人の食事を作ることを想像しましょう。スープを水から作ると大変ですね。色々な具材を準備して、大鍋に煮込んでグツグツと何時間も・・・何回か濾してと。そこでスープメーカーさんに頼んで下味をつけたスープを作ってもらいます。調理場ではその下味が付いたスープにその店のメニュー用に調合した調味料を加えるだけで完成です。真っ新のシリコンに後から不純物を添加するのは大変です。例えばシリコンウエハーの厚さは1mm弱-800ミクロン位とします。不純物の種類にもよりますが、シリコン中の拡散スピードは大体1000℃で1時間に1ミクロン程度です。800ミクロンだと800時間も必要になります。これは大変ですね。そこどウエハーメーカーさんに頼んで予め不純物を含んだ半導体ウエハーとして納入してもらいます。そして後から各製品に沿った不純物を添加して作っている訳です。
しかし、単結晶引き上げ時におまけ?で入れますので不純物濃度の方はいい加減-でもないですが、後で出てきますインプラなどを使う方法に比べ当然バラツキます。抵抗率の違いで出てきてスペック表に抵抗率**~***Ω・mなどと表示されています。
少しイメージ湧いてきましたか?

図4

P5:出来上がったインゴットをカットして円盤状に加工します。
円盤は一般にウエハーと呼ばれていますがスライスと言う人もいます。直径はインチかミリで表し今は300mm、12インチが主流ですが日本各地には4、5、6インチ工場などもかなり残っています。量産しなくても経済的にやって行けるデバイスは大きくしなくてもよいからです。メモリーなどは大量生産してコスト下げないといけませんので大形化しますね。厚さは1mm以下で薄く出来ています。図ではウエハカットに内周刃を使ったカッターで紹介していますが、ピアノ線状の糸鋸みたいなものを複数本使って一気にカットする方法もあります。いずれにせよカットした面は凸凹ですから表面を磨きあげてまっ平らにします。鏡面仕上げと言うものです。凸凹があると段差と言って後で述べるフォトリソグラフィー(露光)工程がうまくできません。本当に鏡のようにピカピカで、オペレーターのお嬢さんたちは自分の顔を映していました。クリーンルームでは化粧できませんけどね(^^)。凸凹にもスペックがあって何ミクロン以内などきめ細かく決められています。フィトリソグラフィ工程用のスペックです。
スペックとしてはこの他に
抵抗率
酸素濃度
結晶欠陥検査表
直径
結晶方位
などがあります。
ここで結晶方位とは結晶方向を示すもので単結晶引き上げ時で決まってしまいますが、切だし時に結晶方向をにらんで切ってやります。日本のCMOS工程では110面スタートが多いと思いました。これも後で述べますが結晶方位110面へ作ったCMOSトランジスタが一番出来が良いので・・・確かその昔しに日立のエンジニアさんが発見した?・・・110面が表になるように切り出しています。ピカピカ光っていてデバイスを作り込む面が110面という事になりますね。方位面を表す方法としてウエハーに目印を付けています。昔はオリフラ(Orientation Flat)というウエハー外周の一部を切り取った形でした。Wikipediaさんから転載させてもらった写真にもありますね、一部欠けているような格好になっています。もう一つはノッチ(Notch)でこれもウエハーの外周にすこし切り込み(半円状のもの)が入っています。これは製造ロボットの搬送にも利用しています-まあ目印です。結晶方位はミラー係数で表しますが、分からない方は高校物理か何かで出てきますので勉強してみてください-と言って先に進みます。

図5

P6:半導体工場のお話しです。
CR=Clean Roomの略語です、いきなりでは面喰いますね、初めにお断りしておきましょう。
半導体工場の特徴=大きい、綺麗ですかね。周りの付帯設備が無ければ病院みたいな印象を受けます。排ガス処理設備があり煙突みたいな排気塔が何本か立っています-ちょっと薬品の臭いがしますね。半導体デバイスはクリーンルーム内で作られます。各工程毎に装置が組まれていて、装置間を何回も渡りながら作り込まれて行きます。製造装置の他に検査装置や自動搬送ロボット(AVG、テレリフト)などもあり現在ではかなり無人化されています。
シリコンウエハーは20~25枚1組のLOT単位で処理されカセットと言う入れ物に納められで運ばれます。写真中にSMIFポットと言うものがありますが、SMIFとはStandard Mechanical Interfaceの略で規格化された箱みたいなものです。シリコンウエハーはこのSMIFポットの中に納められて各種装置間をロボットで運ばれます。装置に運ばれるとそこでプロセスが行われます。終了すればまたSMIFポットに納められますので次のプロセス、装置へ自動搬送されます。プロセスを行う装置ではそのプロセス履歴がログデータとして記憶されるか中央モニターへ送られ記録管理されます。もし何かの異常が発生したりすれば警報を出してプロセスを停止させたり、処理ルーチンへ入って適切に処理されます。ウェハー1枚位1枚の履歴は全てログデータとして記録管理されていますので後で問題が発生した場の追跡調査や解析データとして役立ちます。それにしてもゴミが無いので時期になると花粉症の人は助かりますね(^^)!
後で述べますが,CRは大きく分けて2区に分かれています。1つは前工程エリアでシリコン面へトランジスタなどの素子を作り込む工程があります。もう1つは後工程エリヤで配線工程とも言いますがシリコン面へ作り込んだ各素子間を金属配線でつないで回路にする工程です。
この2つの工程は別ものですからお互いに区分されています。簡単に言うと金属汚染が入らないように隔離されています。この辺りは半導体のキモなのでおいおい説明してゆきます。
入ってみると分かるのですが・・・黄色いランプ照明があるエリアがあります。ここは露光工程と言ってパターンを転写する所です。写真技術を使って回路パターン等をシリコン基板上に転写して行きますのでレジストと言う感光材を使います。紫外線で感光させるのですが、余計な光が入ってこないように白色光ではなく黄色の波長の光を使っています。慣れないと目がチカチカして疲れます-このエリアの人は目が悪くなりますよ、多分!

図6

P7:CR内部のお話しです。
ビルは3階以上5階などもあります。ビルの一番下はプレナムエリアと言い、付帯設備がギッシリ詰まっています。付帯設備としては真空ポンプ、冷凍機、薬液循環装置、各種タンク、廃液処理装置等々・・・たくさんあります。下の説明図では3階構造で描いていますがUSでは5階もありました。一番下の階から太く長いステンレスの真空配管が各階を貫いて最上階のクリーンルームにある真空装置に接続されている光景は潜水艦の潜望鏡みたいですね?ちなみに日本の潜水艦も3階構造でした-関係ないですけどCRと似た所があります。今はちょっとした工場でもCRになっている所もありますね。食品工場や医薬品工場、ゴミを極端に嫌う産業などはCRの中で物が作られています。図は典型的なダウンフローのCRで天井にHEPA(ヘパ)フィルターと言う強力なフィルターが取り付けられていて空気を循環させながら清浄化しています。HEPAとはHigh Effective Particle Air (Filter)の略です。製品によってはULPA(Ultra Particle Air Filter)と言うのもあります-HEPAよりももっと高性能?らしいです。HEPAフィルターは何段か重ねて使ってもよいので要求される清浄度によっては2段、3段と重ねますが、その分空気抵抗が多くなるので循環ファンの動力も大きくする必要があります。循環させるファンはVLFファンと言います。おおざっぱですが、ジェットエンジンの前部分です。ジェット機を見るとエンジンの前に大きな羽があり高速で回転していますね。圧縮機を回している羽です。あれがCRのプレナムエリアにドンと鎮座していて物凄い音を立てながら回転し気流を作って循環させています。うるさくて耳栓をして入ります。とても会話はできませんし風圧で体が持って行かれそうになります。金網のガードには落下してきた色々の物が張り付いていて取れませんね-それくら強力なものです。VLFファンは工場の中で最も電気食いで、電気代が半端でありません。金食い虫ですね。ビジネスが落ちてくると省エネでVLFファンも台数絞って運転しなくてはならなくなります。すると気流が遅くなりCRにパーティクル(ゴミ)が多くなってきて歩留りに影響が出てきたりします。工場ではその辺のバランスとって運転しています。私のいた工場は決して大きい方ではなかったのですが、月2億円の電気代を払っていたものです。
ところで清浄度はClassで表します。1980年代はUS規格のクラスを使っていて私のいた工場は当初クラス100でした。2期目はHEPAを3段にしてクラス10になり、その後クラス1になりました。でも実際に計測してみると全てクラス1以下だったものです。暫くして日本でもJISが制定され今はJIS基準です。一時、東北大のスーパークリーンルームとか言ってクラスで性能を競った時代もありました。しかし清浄度と建設、運転費用は超比例関係で今はクリーントンネルと言ってシリコンウェハーが通る部分だけ清浄度を上げたものがあり、こちらの方がスマートと言うものでしょうね!
半導体で使用するガス、薬品、電気と使用後の廃液、リターン管などは集中配管されています。従って地震や災害時には恐ろしいことになります。中越地震で壊滅的な被害を受けたS社のCR写真を見せてもらったことがありましたが、まるで戦争後か何かのようでしたね。
地震が発生したらまず逃げて下さいと社員教育でお話ししています。

図7

P8:フロントエンド(前工程)のお話し。
さて、それでは半導体生産工程に入って行くことにしましょう。CR中での工程全般をフロントエンドと言います。英語はFront Endですが、前工程と言う意味です。先に半導体デバイスはウエハーと言う円盤状にスライスしたシリコン面(シリコンでない場合もあります)に作って行くと言いました。ウェハーの状態(Wafer Formと言うです)でプロセスするものをフロントエンドと見ても良いでしょう。
フロントエンドの次の工程がバックエンドです。Back Endは後工程と訳されますが、フロントエンドで出来上がったデバイスを1個1個のチップに切ってバラバラにしてから足などを付け、パッケージに組み込みます。組立工程とも言いますが、よくアセンブリーと言っていますね。
アセンブリー工場は日本には無くなったと思います。付加価値の低い工程は海外ですね。半導体も軍事など特殊なものでないと自国で作る意味が無くなっています。日本としては軍事産業が育たない環境なので-宇宙産業、スパコン?この辺は国策によります。

図8

P9:製造装置のお話し。

図9

P10:半導体製造装置の概要です。

図10

P11:バックエンド(組立工程)もお話し。
バックエンドは組立工程と言います。ウエハー上に作られたデバイスを切って1個1個に分けます。そして足(ピン)を付けてパッケージに組み込みます。これで初めて使える状態になりました。さあ最終テストして出荷です!

図11

P12:ICのアイディアからスタート。

図12

P13:アイデァから実際へ。

図13

P14:ICの中身。

図14

P15:作り方の基本。

図15

P16:繰り返し復習。

図16

P17:学び方。

図17

l***200ページまで続きます。暫く掛ります・・・

 

 

 

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