メカニック

フィールドサービスマンのためのメカニック基礎講座です。半導体に従事する生産技術、保守管理エンジニア用ですが、他の産業でも使えると思いますので少しでも参考になれば幸いです。

1.各種工具の使い方

1-1:ドライバー
最も使用頻度の高い工具です。貫通ドライバーと絶縁ドライバーがあります。ネジ類を締める目的で使用しますが、穴の中に入れて回したりハンドルの代わりに使ったりもします。 ドラーバーの柄の部分をハンマー代わりには使わないようにしましょう-よく見受けます。

図1-ドライバーの種類

図1-ドライバーの種類

ドライバーはネジ溝に合ったサイズのドライバーを使用しましょう。隙間があくものはネジ溝を傷めますし滑って危険です。大-中-小と3本揃えておけば大抵の作業は間に合います。

ドライバ-の軸が柄を貫通しているものを貫通ドラーバーと言います。機械的に強いのでメカのエンジニアの方はよく使います。電気では金属製の軸が貫通していると感電の危険がありますので使わないようです。電気では一般には絶縁ドライバーを使用します。クリーンルームの作業では良くオイルを落としてアルコールで拭いてから使用してください。 曲がっているもの、先が欠けたりして壊れたものは滑ったりして危険ですから使用しないようにしてください。O-RINGを外す時には使用しないで下さい。O-Ringの溝を傷つけますと真空漏れ(リーク)の原因となります。
その他のドライバーとしては精密ドライバーや調整用ドライバーなどがあります。先の形状が調整するものによって違いますので適合するものを使用します。実生活ではメガネのネジ回しですね。
高周波回路の調整では高周波ドライバーを使うことがあります。これはコア等を調整する場合に金属製では透磁率μ(磁界の通り易さ)が変わってしまって調整ズレを起こすためです。高周波ドライバーは非金属製で出来ていて透磁率μに影響を与えないようになっています。

図2-その他のドライバー

図2-その他のドライバー

1-2:スパナー・レンチ
次にスパナー・レンチの使い方ですが、これには回す方向があります。レンチ類はよく見るとクの字に少し曲がっています。実際やってみると曲がっている方向に回すとよく力が加わります。個人的には疑問???なのですが図2の左の様に学校などでよく教えられるハンマーで叩いて硬いネジを外す方法があります。 スパナーのアゴの掛けかたが逆ですが、ハンマーがスパナに当たった時、滑りにくいとの理由でこの図の様に指導されているようです。注意すべきは日本でモンキーレンチと言っているものでネジで顎の部分が動いてネジのサイズに合わせることができます。これは可動部分の顎の方向に向かって回さないと外れてしまいます。図2右側で正としている方向に回します。反対方向に回すと顎が外れてネジ山が潰れてしまいます。人の手を見てみるとレンチ類にそっくりですね。レンチ類で言うなら親指が下顎で対向した4本の指が上顎です。手で瓶の蓋を回す時も親指の方向に回しますね。同じようにレンチ類は基本的に下顎の方向に回して使います。

図3-レンチ・スパナー

図3-レンチ・スパナーの使い方

実用的には2本1組で使用する事が多いものです。供回りしないように、また他の部品等に力が加わらないように一方を固定して使う場合などがあります。締める方も外すほうも図4の様に2本1組にして、ずらしてセットしてから握手をする要領で手を握るとと簡単に作業できます。
図4下の写真はモンキーレンチで締め込む場合です下顎の方向に回していますね!

図4-レンチで作業

図4-レンチで作業

社員研修でもフランジ取り付けの実習をしていましたが、何回かやると分かってくものです。
方締めにならないように均等に締め込んで行きます。慣れないうちは少しづつ締めて行けばよいでしょう。いまの装置はトルク管理しないと性能が出ないものが多くなってきました。ある程度締めたら最後にはトルクレンチやトルクドライバーで均等に締め込みます。フランジなどの場合は高対角線状に締めて行きます。

図5-締め込む順序

図5-締め込む順序

やってしまいがちなこと:
ちょっとした作業ではスパナ類をわざわざ使わなくても、ペンチなどでナット類を締めることができますが、ナットをペンチで締めてはいけません。 大きさや必要トルクによって適切な工具を選んでください。ネジ山潰したりすると倍返しどころか数百倍返しの目に合います。工具は適材適所で使いましょう!

図6-良い例・悪い例

図6-良い例・悪い例

1-3:トルクレンチ
トルクレンチは規定の力でネジを締め付けるための工具です。 半導体製造装置では各所で締め付けトルクが規定されています。 この規定トルクを守らないとプロセス性能や機械的性能が出ない場合があります。

図7-トルクレンチ・トルクドライバー

図7-トルクレンチ・トルクドライバー

落としたり、強い衝撃を与えないでください。使用しない場合はトルク設定値を最低レベルにして設定を開放してください。また定期的なトルク検査(通常1年毎)が必要です。

1-4:ペンチ類
ペンチ類は大別すると電工型ペンチとラジオペンチに区別できます。 電工ペンチは電気工事の現場で便利なようにつくられたものです。

図8-電工ペンチとLレンチ

図8-電工ペンチと六角Lレンチ

六角Lレンチで先端がボール状になっているものがありあすが斜め方向からでも六角穴のボルトを回せます。角度的には2~30度位が限界だったか・・・忘れました・・・買った時の説明書に書いてあります。これ以上の角度では使わないことです。やはり機械的強度は少し落ちます-ボールがポロリと取れてしまったのを何回も目撃しました。ボルト穴を傷つけないように気をつけます。
外資系だったのでアメリカのエンジニア(正確にはテクニシャン・・基本的にアメリカのエンジニアは工具持ちません、テクニシャンに指示するだけです)がボールポイントLレンチが無くて困っていました。かれは日本のエンジニアに日本製のミリの六角Lレンチとヤスリをかりて・・・ゴリゴリと先を加工し出しました。暫くするとインチサイズの六角Lボールレンチが出来ていました-凄い、つくっちゃた!**でも彼が帰国するまでに全て先が吹っ飛んでいましたが-と言うオチが付きますです(^^)!

ラジオペンチはラジオなど電子機器の組み立てに便利なように先端が細くなっています。電線の切断、被覆はがし、部品をつまんだり、保持したり、ハンダ付けの時の断熱など用途は様々で広範囲です。

ニッパーは銅線の切断や部品の足(取り付け線)の切断に使用します。オフセット型と普通型がありますので使いやすいものを選んでください。

図9-ニッパーとラジオペンチ

図9-ニッパーとラジオペンチ

再び外資系のお話しで恐縮です。ラジオペンチがニッパーでニッパーはワイヤーカッターでしょうね?nipは摘むなのでラジオペンチの方が適切では??ニッパーは摘むのではなく切るものですからカッターでは?外人さんと会話する時はいつもそう言ってきましたが、別に問題は無かったです。もう一つ、ニッパー(ワイヤーカッター)で鋼線を切ってはいけません!一発で刃がダメになってしまいます。くれぐれも切るのは銅線(軟線)だけにしてください。工具は大事に使えば一生ものです。

1-5:ドリル作業
ドリル作業はクリーンルーム中では避けましょう。パーティクル(ゴミ)が大発生しますし火花もでます。ドリル作業はクリーンルームの外で行い組立のみをクリーンルーム内で行うよう工程を作りましょう。 どうしても作業が必要な場合には安全管理(漏電ブレーカー付きのドラムコードの使用、2重絶縁工具-今は全て2重絶縁です)、パーティクル防止のための養生処置を十分おこなってください。

図10-ドリル

図10-ドリル

図11-ドリルビット(刃)

図11-ドリルビット(刃)

ドリルビッドの切れが悪いと時間が掛かるばかりか、危険です。 刃を砥ぐか新品を使用してください。ドリルは大型になると危険です。片手で作業する場合には10Φ位が限度と考えてください。半導体では油は厳禁です、切削油を使用した場合にはアルコールなどで十分ふき取ってください。ドリルは穴を空ける面は垂直に立てて使用します。 あらかじめポンチで案内用の印をつけておくと刃が滑りません。

図12-ドリル下処理

図12-ドリル下処理

**労働安全衛生法では回転機械を扱う場合には巻き込まれ防止のため、軍手の使用が禁止されている場合があります。

1-6:タップ立て
ネジを切るためにはタップを用います。 図11はハンドタップの例ですが、3本1組となっていて先端のテーパの少ないものから先タップ、中タップ、仕上げタップとなっています。この順番でタップを立てないと余計な力がかかりタップが折れることがあります。

図11-ねじ切り作業

図13-ねじ切り作業

ねじ穴の中で折れたねじを取り出すとき使用 する工具にスクリューエクストオタクターと言うものがあります。滅多に使わないのですが、一つ持っていると安心です。しかし余り小さなネジには向きません。

図-引抜器

図14-スクリューエクストラクター(引抜器)

1-7:ヘリサート
ネジ結合によって軽金属や非金属(プラスチック、テフロンなど)のように強度の低い母材のメネジを強化するために各種のネジブッシュが使用されてきましたが、ヘリサートはネジ形状に巻いて造られた極めて精度の高い理想的なネジブッシュです。ヘリサートの材質はステンレス鋼材(JIS G4308、SUS304相当材)を使用し、冷間加工によって菱形に成形されています。摩耗、腐食、熱などによってメネジの損傷を防止することができます。

図13-ヘリサート

図15ヘリサート

1)ドリルによるインサートタップ下穴加工
レリサートタップ下穴径は標準のネジ下穴径よりひとまわり大きくなります。
よって、標準のメネジの谷径より少し大きくなります。

図14-ドリル加工

図16-下穴加工

2)ヘリサートタップ
ヘリサートを挿入するための専用タップです。
普通タップよりヘリサートインサートの線径分だけ大きくなっています。

図15-

図17-タップ加工

3)インサート挿入工具
S型:
ヘリサートインサート挿入時には、タングをマンドレルの先溝にはさみ(ヘリサートインサートのタング側を下に向けます)、スリーブを軽く上から押さえながらハンドルを回して挿入します。
P型:
P型にはスリーブの内側に案内のメネジがついておりますので、挿入時にはヘリサートを案内メネジに入れてください。 タングをマンドレルの先溝にはさみ、軽くハンドルを回し挿入します。

図16-

図18-インサート挿入

4)タング折取工具
タングを折り取る場合に使用する工具です。工具の先端をタングに当て、工具の頭部を短打します。

図17-

図19-タングの折取

5)インサート抜取工具
挿入されたヘリサートを、工具を使って逆方向に回して強く押さえながら回します。

図18-

図20-インサート抜取

ヘリサートインサートの種類
1.標準ヘリサートインサート
次の種類があります
メートルネジ(並目)
メートルネジ(細目)
ウイットネジ(並目)
ユニファイネジ(並目)
ユニファイネジ(細目)

6)ロックヘリサートインサート
ロックヘリサートインサートは、ヘリサートインサートの中央のコイルの一巻を多角形にし、この部分でボルトをしっかり締めつけます。よって、標準ヘリサートより緩み防止効果が高まります。

1-8:クリンピングツール
コネクターのピンを接続して本体に挿入固定します。ピンを抜く場合には専用工具(Pin Extractor)が必要です。手先の器用な日本人なら小ドライバー等先のとがったものでも何とか引き抜けますがやはり専用の工具を使った方がスマートです。

図19-

図21-ピン加工器具

2:代表的な機材の使用方法

2-1:テフロンテープの使用方法
図の手順でセットしてください。日本ではシールテープと言いますがテフロンテープです。巻き過ぎはかえって漏れます-案がえ方としてはあくまで潤滑材でスムーズにネジ込むためものと考えて下さい・・・とUSのマニュアルには書いてあります。巻き過ぎないための戒め?
私流必殺技はテフロンテープ+液体テフロンシールの合わせ技です。少しの使用で100%ノ-トラブルでシールできます。半導体業界に入る前、水処理業界で仕事していた頃に先輩から伝授されました。

図21-テフロンテープ

図22-テフロンテープ

2-2:Swagelockインスタレーション
今では余りつか使わなくなりましたが私が半導体業界に入った30年以上前はスエージロックのオンパレードでした。新入社員教育は必ずスエージロックの接続から始まりましたね!
振動に弱く、締め込み過ぎると漏れ出し、一度漏れ出すと止まりません。N2ガスや水などは一部で使われていますが、VCRにとって代わられました。

図23-Swagelock

図23-Swagelockインスタレーション-1

図23-Swagelockインスタレーション-2

図24-Swagelockインスタレーション-2

2-3:VCRインスタレーション
現在の主流はVCRです。シールは金属製のガスケットで行いますので信頼性は抜群です。

図25-CVRインスタレーション

図25-CVRインスタレーション-1

図26-VCRインスタレーション-2

図26-VCRインスタレーション-2

図-VCR

図27-VCRインスタレーション-3

*似たようなものにVCOがあります。O-Ringでシールするものですが、今は余り使わなくなったようです。締め込みは手締めからレンチで1/8回します。

2-4:クイックカプラーは便利な接続器具です。キャニスター缶に入った液体等を供給する場合などに使用します。メンテナンス的にはリーク発生したなら交換が適切な処置です。

図28-クイックカプラー

図28-クイックカプラー

2-5:USのマニュアルにあったものでご紹介します。チューブにネジ込んで使う接続具です。Barbとはタテガミのことでよくもこんな名前を付けたものだと感心してしまいました。

図

図-29馬のタテガミ

2-6:ウエット用接続具

図

図30-薬液用接続具

2-7:ハンドバルブ
ハンドバルブを扱う機会も多いと思います。ハンドバルは手で操作することを前提で作られていますからレンチなどでアシストしないでください。開ける時にはゆっくり回します。急激に回して開けないでください-身にためです!何かあったら直ぐ締められるよう、また逃げられるようにした状態で片目を閉じて回します-安全メガネを付けていてもそうしてください。目をやられたら逃げられません!

図-

図-31 ハンドバルブの操作

2-8:エアオペバルブ
エアオペバルブと言えばニュプロが定番ですね。信頼性が高いものです。以前はベローズバルブが主体でしたが、パーティクル(ゴミ)の問題やデットスペースの問題などでダイヤフラムバルブが主流です。ガスの流れに方向がありますので取り付けには注意してください。
内部の部品は交換可能でリペアキットとして販売されています。私も何度か修理しました。

図

図32-エアオペバルブ

3:測定器具
半導体ではノギスとマイクロメーターをよく使います。バーニアと言う目盛が付いていますね。今はディジタル化されていて読み間違いはしなくなりましたが、ディジタルでは本当に正しいか?と思うこともあります。バーニア目盛も読めるようにしておきましょう。
バーニアは10目盛のところを9で目盛ってあります。どこかに本尺と副尺が一致するところがあるのでその読みが測定値になります。

図

図33-ノギスとマイクロメーター

図34はノギスの代表的な使い方です。この他にノギスの頭で測定する方法おあります。

図

図34-ノギスの使用方法

その他:単位系
最後に半導体で用いる代表的な単位系を載せておきます。私は外資系が長かったのでインチ、ポンドの単位も覚えました。もちろん国際的にはメート、キログラムです。

図

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