トランジスタのよもやま話し

トランジスタの色々なお話しです。

いきなりで恐縮ですがHi-gm トランジスタに採用されているエクステンションと言う技術があります。S/Dと同じ程度の濃度の拡散層従来のLDD部分に作るものです(図1)。インプラは斜め注入方式となりますので装置もそれなりの機構になっています。濃度が高くかつ浅いもので拡散層の深さは40~100nm手度ですが微細化と共に浅くなってゆきます。熱履歴(サーマルバジェット)を管理しないと作り難いもので全てのプロセスはLow-K材の問題と同じで低温化してゆきます。

図1-エクステンション

図1-エクステンション

トランジスタのスピードを上げる方式としてひずみシリコンがあります。これは格子定数0.543nmのSi中に格子定数0.565nmのGeをドープするとSi単結晶は格子定数が広げられます。SiGe単結晶上にSiをエピタキシャル成長させると、Siの格子が拡張されてひずみがかかった状態になりこれをトランジスタのチャネルとして使うと、キャリアのスピードが上がり特性が向上するというものです(図2)。

図2-ひずみシリコン

図2-ひずみシリコン

通常のシリコン基板上にMOSトランジスタをつくると微細化に対して色々の問題が出てきます。まず基板容量とPN接合部の容量がありスピードが上がりません。また寄生サイリスタ効果でラッチアップが生じ易くなります。このためSOI(Silicon On Insulator)基盤を採用する場合があります。図3はSOIのMOSトランジスタを示しています。こうすると基板容量が小さくなりPN接合容量が発生しません。またアイソレーションがし易くなります。高速化、微細化、低消費電力化は図れます。

図3-SOI

図3-SOI

SOI基板を作るのは多少面倒ですが実用化されています。図4はウエハボンデイングSOIというものでデースウエハに表面を酸化したボンドウエハを張り合わせて作ります。

図4-

図4-ウエハーボンディング

図5はスマートカットSOIでインプラで水素を打ち込み、後で熱処理してへき解させて分離させる方法です。

図5-スマートカット法

図5-スマートカット法

また図6はSIMOXといい、インプラで酸素を打ち込み後アニールして酸化膜を間に作るというユニークな方法です。

図6-SIMOX法

図6-SIMOX法

微細化に伴うシャロージャンクション(浅い接合)対応としてエレベイテッド・ソース&ドレイン構造トランジスタがあります。微細化では横方向と共に縦方向も縮小しますのでソース・ドレイン拡散層やエクステンションも浅くなります。作り難くなると同時にコンタクト抵抗が上がってしまいパフォーマンスが落ちます。またコンタクトドライエッチの時に浅い接合層を貫通したりするとPN接合がショートしてしまい大電流が流れてデバイスが壊れてしまいます(コンタクトブローアウト)。またコンタクトがPN接合面に近いとリーク電流が増加します。エレベイテッドソース・ドレインはシリコン基板の上にソース・ドレインを選択的に作るものでシャロージャンクション問題を解決するものです。コンタクト抵抗が下がり微細化が進みます。

図7-エレベイテッドソース

図7-エレベイテッドソース・ドレイン

15nm程度以下のトランジスターでは縦型トランジスタの試作が行われています(図8)。半導体の技術革新ではよく構造体の作り込みでブレークスルーを達成する時期と次にそれが限界に来て新材料の開発採用でブレークスルーを達成する時期があります。現在はHi-K、Low-Kなどの新材料の時期かも知れませんが次はこの様な構造体でブレークスルーするかもしれません。ゲート酸化膜はALD( Atomic Layer Deposition)、原子層CVDによるHi-K材を使用しています。ALDは反応チャンバー中へガスをパルス的に供給し、表面吸着させ膜を形成するもので吸着反応が終了してから再びパルス的にガスを供給し成膜を繰りかえして成膜します。モノレイヤー毎に膜を形成するため膜質に優れ、ステップカバレッジも良好と言われています。一昔にあったガスパフと言うプロセスのリバイバル版かも知れません。

図8-縦型トランジスター

図8-縦型トランジスター

ゲート材はチタンシリサイドがシリコンに対する仕事関数が低く低抵抗なためコンタクト底部のオーミックコンタクト確保などに長く使用されてきています。しかし微細化すると抵抗が上昇すると言う性質のため代わってニッケルシリサイドが登場しました。ニッケルは金属汚染の元凶ですが禁手を使ってでもトランスタの能力を上げなくてはならない状況になったと言うことです。歪シリコンや銅配線もその中の一つです(表1参照)。

表1-配線材料

表1-ゲート材料

配線材料はCMPによるダマシンプロセスの展開で最新デバイスでは銅配線が使われています。比抵抗はアルミより低くEM(エレクトロマイグレーション)耐性も優れていますが、シリコン中はもとより酸化膜中も通過するためバリア膜が必要なこと酸化膜に対する接着性が低い、工程が複雑化するなどの問題があります。しかし銅配線はこれらの欠点を補って余りあるものがあり今後も拡大してゆくでしょう。次の世代としてシルバーの使用も検討され研究されています(表2参照)。

表2-配線材料

表2-配線材料

 

 

 

 

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